ニュース速報
ワールド

中国、大型核融合研究施設を建設か 複数の米専門家が指摘

2025年01月29日(水)02時22分

中国が南西部の綿陽市に大型のレーザー核融合研究センターを建設中とみられることが、明らかになった。8日撮影(2025年 ロイター/Dado Ruvic/Illustration)

Gerry Doyle

[シンガポール 28日 ロイター] - 中国が南西部の綿陽市に大型のレーザー核融合研究センターを建設中とみられることが、明らかになった。米国の2つの分析機関の専門家が指摘しており、中国の核兵器設計や発電研究のために使われる可能性がある。

衛星写真を分析した独立系米研究機関CNAの研究員、デッカー・エベレス氏によると、この施設は米西部にある国立点火施設(NIF)と類似した配置で、NIFは2022年に核融合の実験で、投入量を上回るエネルギーを得ることに成功している。

こうした施設により、核融合反応に関する分析や、宇宙に豊富にある水素を使った発電方法を研究できるとされている。このほか、実際に爆発を伴う実験が必要だった爆発の詳細な違いについても調べることが可能になるという。

米国のジェームズ・マーティン不拡散研究センター(CNS)の専門家と連携するエベレス氏は、中国の実験施設は、現在世界最大のNIFと比べて約50%大きいと推定している。

スティムソンセンターの核政策アナリスト、ウィリアム・アルバーク氏は「NIF型の施設を持つ国は、既存兵器の設計の改良や、実験なしでの爆弾の設計が容易になり得るし、おそらくそうするだろう」と述べた。

中国と米国が署名している包括的核実験禁止条約は、全ての爆発を伴う核実験を禁止している。ただ、核反応を起こさない「未臨界」の核実験は認められており、レーザー核融合研究も可能となっている。

中国外務省はロイターの質問を「関係当局」に照会し、中国科学技術省はコメントの要請に応じなかった。米国家情報長官室はコメントを控えた。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米アリアンツ・ライフ、サイバー攻撃で顧客110万人

ビジネス

豪ウッドサイド、上期は前年比24%減益 価格下落と

ワールド

ブラジル、米による貿易慣行調査を批判 対話呼びかけ

ワールド

原油先物は小幅安、ロシア・ウクライナ和平交渉の可能
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
2025年8月26日号(8/19発売)

中国の圧力とアメリカの「変心」に危機感。東アジア最大のリスクを考える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに感染、最悪の場合死亡も
  • 2
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コロラド州で報告相次ぐ...衝撃的な写真の正体
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    【クイズ】2028年に完成予定...「世界で最も高いビル…
  • 5
    AIはもう「限界」なのか?――巨額投資の8割が失敗する…
  • 6
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に…
  • 7
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 8
    アラスカ首脳会談は「国辱」、トランプはまたプーチ…
  • 9
    「これからはインドだ!」は本当か?日本企業が知っ…
  • 10
    恐怖体験...飛行機内で隣の客から「ハラスメント」を…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...「就学前後」に気を付けるべきポイント
  • 3
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コロラド州で報告相次ぐ...衝撃的な写真の正体
  • 4
    「笑い声が止まらん...」証明写真でエイリアン化して…
  • 5
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 6
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に…
  • 7
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 8
    「何これ...」歯医者のX線写真で「鼻」に写り込んだ…
  • 9
    債務者救済かモラルハザードか 韓国50兆ウォン債務…
  • 10
    「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」(東京会場) …
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 9
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
  • 10
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中