ニュース速報
ワールド

ウクライナ軍、東部要衝アブデーフカから撤退 プーチン氏「重要な勝利」

2024年02月18日(日)17時11分

 ウクライナ軍のシルスキー総司令官は17日、激しい戦闘が続く東部ドネツク州の要衝アブデーフカから部隊が撤退したと明らかにした。写真はアブデーフカの工場付近の様子。同州ヤシヌバタで15日撮影(2024年 ロイター/Alexander Ermochenko)

Yuliia Dysa Tom Balmforth

[キーウ 17日 ロイター] - ウクライナ軍のシルスキー総司令官は17日、激しい戦闘が続く東部ドネツク州の要衝アブデーフカから部隊が撤退したと明らかにした。ロシアのプーチン大統領はアブデーフカ制圧を「重要な勝利」と呼んで兵士らをたたえた。

ロシアにとって同州バフムトを掌握した昨年5月以来の大きな戦果となった。ただ、ロシア国防省によると、アブデーフカのコークス工場にはなおウクライナ軍部隊が残っている。

米国のウクライナ軍事支援が議会の対立で遅れる中、ウクライナは深刻な弾薬不足に直面。

シルスキー氏は軍の声明で、「包囲を回避し兵士の命と健康を守るため、部隊を撤退させ、より有利な戦線からの防衛に移ることを決めた」と述べた。

ロシア大統領府はプーチン氏が「今回の成功、重要な勝利を果たした軍の兵士らをたたえた」との声明を出した。

バイデン米政権は15日、弾薬不足でアブデーフカが陥落の危機にあるとの認識を示していた。

ホワイトハウスは17日の声明で、バイデン氏が同日にウクライナのゼレンスキー大統領と電話会談し、支援継続の決意を強調したと発表。米議会がウクライナ軍事支援を盛り込んだ緊急予算案を早急に可決する必要があると改めて指摘した。

ロシア軍はアブデーフカの北西端にあるコークス工場を完全に掌握していないもよう。国防省のコナシェンコフ報道官は通信アプリ「テレグラム」に投稿した動画で、コークス工場に残るウクライナ軍部隊に言及し「アブデーフカから一掃するための措置を講じている」と述べた。

<ゼレンスキー氏は安保会議で追加支援訴え>

ゼレンスキー氏はドイツで開催された「ミュンヘン安全保障会議」に出席。ウクライナ軍の部隊がアブデーフカでロシア軍を「消耗させた」と称賛する一方で、欧米諸国に軍事支援の強化を訴えた。同国軍は兵器の補給や、ロシア軍が所有するような長距離兵器が不足していると強調した。

また、ミュンヘンで米下院の超党派議員団と面会したと明らかにし、下院がウクライナ追加軍事支援を承認することを望んでいると述べた。「われわれはこの戦争に勝利する必要がある」と語った。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米国のインフレ高止まり、追加利下げに慎重=クリーブ

ワールド

カザフスタン、アブラハム合意に参加へ=米当局者

ビジネス

企業のAI導入、「雇用鈍化につながる可能性」=FR

ビジネス

ミランFRB理事、0.50%利下げ改めて主張 12
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    「これは困るよ...」結婚式当日にフォトグラファーの…
  • 5
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 6
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 7
    NY市長に「社会主義」候補当選、マムダニ・ショック…
  • 8
    「なんだコイツ!」網戸の工事中に「まさかの巨大生…
  • 9
    あなたは何歳?...医師が警告する「感情の老化」、簡…
  • 10
    約500年続く和菓子屋の虎屋がハーバード大でも注目..…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 5
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 6
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 7
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 8
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 9
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 10
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中