ニュース速報

ワールド

他人は発射できない「スマートガン」、米国で年内発売も

2022年01月12日(水)18時24分

 米新興銃メーカーのロードスター・ワークスは1月7日、米アイダホ州で株主や投資家に向けて、特定の認証された1人ないし複数の人だけが発射できる仕掛けの「スマートガン」を発表した。写真はスマートガンの仕組みを公表する同社最高技術責任者のジンジャー・チャンドラー氏(2022年 ロイター/Brian Losness)

[11日 ロイター] - 米新興銃メーカーのロードスター・ワークスは7日、米アイダホ州で株主や投資家に向けて、特定の認証された1人ないし複数の人だけが発射できる仕掛けの「スマートガン」を発表した。同業の米スマートガンズも、同様のタイプの試作品を法執行官が試験中だと発表した。両社とも年内に商業生産に移行できると期待している。

ロードスターの共同創業者、ガレス・グレーサー氏によると、放置された銃で子どもが遊んでいて犠牲者が出る事例を余りに多く聞いたのが開発のきっかけだった。スマートガンならこうした悲劇を防げると主張。自殺も減らせるしとし、紛失ないし盗難の銃も使えなくできるとしている。自分の銃がつかみ取られることを恐れる警察官や刑務所刑務官にも安全を提供するという。

ロードスターのスマートガンは初めて銃を購入する層が狙いで、小売価格は895ドルの見込み。スマートガンズの製品は法執行官向けが1795ドル、一般市民向けが2195ドル。

これまで開発が試みられてきたスマートガンの大半は、指紋読み取りでロックを解除するか、使用者の指輪や腕輪にはめ込まれたチップを銃のチップが近距離無線通信で認証できたときだけ発射できる方式だった。ロードスターのスマートガンは両機能を統合し、携帯電話のアプリで稼働させる。バックアップ用の認証パッドも付く。

こうしたスマートガンに対しては、危機に際してだれかが家や家族を守ろうとしたり、現場の警察官たちが使ったりするにはリスクが高いとの批判も出ている。

2014年にはドイツのメーカーがこうした方式のピストルを発売。ただ、遠隔操作で無線信号を混乱させる方法やロックされているべき時に磁石を使って発射させたりする方法をハッカーたちが発見したため、店舗から回収されている。

スマートガンを巡っては性能への責任などを巡ってこれまで約20年、論争が続いてきた経緯がある。ニュージャージーでは、スマートガンが発売されるようになった後は州内のすべての銃火器店にそうした銃の販売を義務付ける法律が2019年に成立し、米憲法が保障する銃所持の自由の擁護派を激怒させた。

米銃火器販売業者の団体である全米スポーツ射撃財団(NSSF)は今回、政府にスマートガンを売るよう義務付けられない限りは反対しないとしている。

ロイター
Copyright (C) 2022 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

習氏、王公安相を米との貿易協議に派遣=新聞

ビジネス

独首相、EUの共同借り入れ排除せず 欧州の防衛力強

ビジネス

独立したFRBの構造、経済の安定を強化 維持される

ワールド

フィンランド大統領「ウクライナ停戦は正しい方向に進
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 2
    SNSにはトップレス姿も...ヘイリー・ビーバー、ノーパンツルックで美脚解放も「普段着」「手抜き」と酷評
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    教皇選挙(コンクラーベ)で注目...「漁師の指輪」と…
  • 5
    恥ずかしい失敗...「とんでもない服の着方」で外出し…
  • 6
    骨は本物かニセモノか?...探検家コロンブスの「遺骨…
  • 7
    「金ぴか時代」の王を目指すトランプの下、ホワイト…
  • 8
    ロシア機「Su-30」が一瞬で塵に...海上ドローンで戦…
  • 9
    ついに発見! シルクロードを結んだ「天空の都市」..…
  • 10
    中高年になったら2種類の趣味を持っておこう...経営…
  • 1
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 2
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 3
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得る? JAXA宇宙研・藤本正樹所長にとことん聞いてみた
  • 4
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 5
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 6
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 7
    古代の遺跡で「動物と一緒に埋葬」された人骨を発見.…
  • 8
    シャーロット王女とスペイン・レオノール王女は「どち…
  • 9
    野球ボールより大きい...中国の病院を訪れた女性、「…
  • 10
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 6
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 7
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 8
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中