ニュース速報

ワールド

情報BOX:G7サミット、中国問題や気候変動対策など主な合意内容

2021年06月14日(月)07時31分

6月13日、G7サミットは、増大する中国の影響力に対抗していくことや、気候変動対策、途上国への新型コロナワクチン供給拡大、景気刺激策の継続などを約束して閉幕した。写真は議長国を務めた英国のジョンソン首相。代表撮影(2021年 ロイター)

[カービスベイ(英イングランド) 13日 ロイター] - 主要7カ国首脳会議(G7サミット)は13日、増大する中国の影響力に対抗していくことや、気候変動対策、途上国への新型コロナウイルスワクチン供給拡大、景気刺激策の継続などを約束して閉幕した。主要分野における合意内容は次の通り。

<気候変動>

声明では、途上国の二酸化炭素排出量削減支援や温暖化対策として2025年までに年間1000億ドルを拠出するという先進国の総額目標を確認し、各国の拠出増額を確約。しかし環境団体からは、依然として具体的な金額があいまいで、今年終盤に協議される世界全体の新たな二酸化炭素排出量削減目標の取り決めに悪影響を及ぼすとの見方が出ている。

また30年までに生物多様性の損失カーブを食い止め、上向きに転じることも約束した。

<新型コロナワクチン>

来年にかけて低所得国向けに10億回分の新型コロナウイルスワクチンを供給することに合意した。国連によるともっと多くのワクチンが必要で、G7はコロナ危機に十分対処しきれていないとの批判も出ている。

<中国>

声明では中国を名指しした上で、新疆ウイグル自治区の人権問題改善に取り組み、香港における高度な自治と自由を尊重するよう求めた。新型コロナウイルスの起源に関する全面的な調査の必要性も改めて訴えた。

また中国の影響力増大を抑えるため、巨大経済圏構想「一帯一路」に対抗する形の途上国のインフラ整備支援計画も提示。アフリカの鉄道やアジアの風力発電施設の建設を後押しすることなどを表明した。

<ロシア>

ロシアに対しては、西側諸国の企業に「身代金」を要求するようなサイバー攻撃について「不安定化を招く振る舞いと有害な活動」と定義し、これを止めるよう促した。また化学兵器使用問題で調査も求めた。

<景気刺激策>

2020年の経済が歴史的な落ち込みを記録したことを受け、各国首脳は「必要がある限り」大規模な景気支援措置を継続し、刺激策を早まって巻き戻した過去の失敗を繰り返さないようにするとの意見で一致。「景気回復がしっかりと根を下ろした段階で、長期的な財政の持続可能性を確保することが不可欠だ」と説明した。

<IMF資産配分問題>

国際通貨基金(IMF)の準備資産である特別引出権(SDR)1000億ドル相当を、コロナ危機で痛手を受けた低所得国に再配分するという構想に関して、具体的な方法を定めるところまで踏み込まず、G7以外の国にも貢献をしてほしいと強調した。今後はG7の財務相・中央銀行総裁が、20カ国・地域(G20)や他の関係諸国と連携し、詳しい方法を早急に検討するという。

<ブレグジット>

英国と欧州連合(EU)諸国の間で、ブレグジット(英のEU離脱)に絡む緊張が再燃している。ジョンソン英首相は、英連合王国の領土的一体性を守るためには「何でもやる」と主張。フランスのマクロン大統領との会談後、一部のEU諸国は「英連合王国が1つの国家だということをきちんと理解していないもようで、私は彼らにそれを分からせる必要がある」と語った。

<バイデン氏と世界>

バイデン米大統領は他のG7首脳から大歓迎を受け、前任のトランプ氏が孤立していたのと正反対の扱いだった。マクロン氏は「G7の仲間として非常に協力的な米国の大統領を迎えるのは素晴らしいことだ」と述べた。

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米FBI長官、中国とフェンタニル問題など協議=関係

ビジネス

SUBARU、米関税で4━9月期純利益44%減 通

ビジネス

経済・物価の見通し実現していけば、政策金利を引き上

ワールド

韓国特別検察、尹前大統領を追起訴 特別戒厳発動へ北
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評家たちのレビューは「一方に傾いている」
  • 2
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一撃」は、キケの一言から生まれた
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 5
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 6
    レイ・ダリオが語る「米国経済の危険な構造」:生産…
  • 7
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 8
    「非人間的な人形」...数十回の整形手術を公表し、「…
  • 9
    「爆発の瞬間、炎の中に消えた」...UPS機墜落映像が…
  • 10
    「豊尻」施術を無資格で行っていた「お尻レディ」に1…
  • 1
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 6
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 7
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 8
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 9
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 10
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中