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新年度予算案が衆院通過、年度内成立へ 現金給付「考えず」と首相
衆院予算委員会は2日、一般会計総額106兆6097億円と過去最大の2021年度予算案を与党などの賛成多数で可決した。菅首相、国会で昨年10月撮影(2021年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)
[東京 2日 ロイター] - 2021年度予算案が2日、衆院本会議で与党などの賛成多数で可決した。一般会計総額は106兆6097億円と過去最大。憲法の衆院優越規定により年度内成立が確定した。生活困窮者への現金給付案について菅義偉首相は「考えていない」との立場を維持した。
政府は、20年度予算に残る予備費2.7兆円と21年度当初予算案で計上した予備費5兆円などをあわせ、切れ目ない経済財政運営でコロナ感染対策に備える。
麻生太郎財務相は「感染拡大に万全を期しながら、グリーンやデジタルなどの中期的課題に対応する予算となっている。(成立すれば)直ちに実行していく方向に持っていきたい」と、同日午前の閣議後会見で記者団に語った。
衆院本会議に先立つ予算委では、低所得のひとり親世帯への臨時特別給付金の再給付に前向きとされる丸川珠代五輪担当相が、生活困窮者への給付金の是非を問われ「所管外のことなので私からお答えするのは控えたい」と述べ、審議が一時中断した。
丸川担当相は「個人の考えはあるが(現在は)閣内にいる。内閣の方針に従って仕事に取り組みたい」との考えも述べた。予算委の締めくくり質疑には全閣僚が出席した。
菅首相は「生活困窮者への経済的支援について新たな給付金は考えていない」とし、緊急小口資金の貸付限度額引き上げなどで対応する考えを重ねて強調した。
参院は3、4両日の予算委員会で首相らが出席する基本的質疑を行う。立憲民主などは「コロナ対策としては極めて不十分」として予算案の組み替え動議を提出したが、否決された。
21年度予算案は、コロナ対策として予備費5兆円を計上したほか、社会保障費や防衛費も膨らみ、9年連続で過去最大を更新した。
不足財源を補う新規国債は当初予算額としては過去最大を回避した。ただ、財源調達の多くを短期債に頼った影響で、普通国債残高は21年度末に990.3兆円に達する。景気対策と同時に、財政健全化の取り組みを維持できるかは正念場を迎える。
*本会議で可決したことを追加しました。
(山口貴也)