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新NAFTA批准に向け大詰め調整 3カ国が10日に最終協議

2019年12月10日(火)14時25分

 北米自由貿易協定(NAFTA)に代わる新たな貿易協定「米・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」の修正案を巡り、米国とカナダの高官が10日にメキシコ入りし、最終協議を行う見通しだ。写真は三か国の国旗。メキシコシティの競技会場で2017年11月撮影(2019年 ロイター/File Photo)

[ワシントン 9日 ロイター] - 北米自由貿易協定(NAFTA)に代わる新たな貿易協定「米・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」の修正案を巡り、米国とカナダの高官が10日にメキシコ入りし、最終協議を行う見通しだ。合意が成立すれば、米下院は年内にも批准に向けた採決に進む可能性がある。

民主党のペロシ下院議長は9日夜、USMCAの最終的な文言が10日までに固まるとの見通しを示した。

同議長は財界幹部の会合で「(合意が)非常に近い。まだ完了していないが、射程内に入っている」と述べた。また、USMCAの執行方法に関する別の法案の文言について作業していると明らかにした。

トランプ政権と下院民主党はここ数日、労働分野や鉄鋼・アルミ分野などの修正を巡りメキシコ側と協議を重ねてきた。

米政権当局者が9日、ロイターに明らかにしたところによると、ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表とトランプ大統領の娘婿クシュナー大統領上級顧問は10日にメキシコ市を訪問し、協定の詳細を巡り詰めの協議を行う。

カナダのフリーランド副首相の報道官は、同副首相も協議に加わると明らかにした。

米下院での採決の是非と採決時期の最終決定権はペロシ下院議長が持つ。

民主党は先に、労働や環境に関する規定の執行方法を巡り懸念を表明。共和党出身のトランプ氏に政治的勝利をもたらすことになるUSMCAの採決に消極的だ。だが、年内批准に向けた残り時間は少なくなっている。米議会は今週末に休会に入る予定だったが、歳出・国防法案の審議で会期は数日延長される見通し。

メキシコのロペスオブラドール大統領は9日、米大統領選を控える来年に批准がずれ込むことを避けるための時間はなくなりつつあるとして、ペロシ下院議長に対し、USMCA批准を決断するよう促した。[nL4N28J47F] 

同大統領によると、メキシコ議会は米民主党の要求を満たすため、労働者や環境保護に関する規定の実効性を高める修正に応じた。

ライトハイザー代表は先週、自動車用鉄鋼の扱いについて新たな要求を提示。メキシコ側は条件付きで要求を受け入れる方針を示している。[nL4N28J0HR]

<トランプ氏「国内協議は順調」>

トランプ大統領は9日、「この24時間で多くの進展があった」とコメント。USMCAを巡る国内協議はうまく進んでいるとし、労働組合からも好感触を得ていると述べた。大統領はこれに先立ち、米労働総同盟産別会議(AFL─CIO)のトラムカ議長と電話で協議。トラムカ議長はUSMCA交渉でメキシコの労働者の権利強化を訴えている。

このほか、米上院財政委員会のグラスリー委員長は9日にライトハイザー代表とUSMCAについて協議。合意内容の発表を待ち望んでいると同委員長の報道官は語った。

トランプ大統領はNAFTAの破棄あるいは見直しを公約に掲げてきた。NAFTAに代わるUSMCAは約1年前に調印されたが、発効には3カ国すべての議会による批准が必要。メキシコ議会はUSMCAを既に批准したが、カナダは米国と歩調を合わせたいとして批准手続きを先送りしてきた。

一方、米国は新たな対中関税の発動期日が迫り、欧州との貿易摩擦も強まる中、米国はUSMCA批准を完了すべきとの声も上がっている。

ロイター
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