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インド中銀、金利据え置き 政策スタンス「調整された引き締め」に変更

2018年10月06日(土)01時41分

 10月5日、インド準備銀行(中央銀行)は金融政策委員会で政策金利であるレポレートを6.50%に据え置いた。写真はムンバイで2016年2月撮影(2018年 ロイター/Danish Siddiqui)

[ムンバイ 5日 ロイター] - インド準備銀行(中央銀行)は5日の金融政策委員会で政策金利であるレポレートを6.50%に据え置いた。市場では利上げが予想されていたため、据え置きの決定を受けインドルピーが売られ、過去最安値を付けた。

リバースレポレートも6.25%に据え置かれた。

6人の金融政策委員のうち、5人が据え置きに投票。前週のロイター調査では、アナリスト64人中35人が利上げを予想しており、金利据え置きはサプライズとなった。

一方、金融政策のスタンスは「中立」から「調整された引き締め(calibrated tightening)」に変更された。

インド中銀は6月以降、過去2回の決定会合でそれぞれ25ベーシスポイント(bp)での利上げを決定。

パテル総裁は記者会見で「今回示した『調整された引き締め』とのスタンスは、現在のサイクルで利下げが検討事項になく、かつ、毎回の会合で利上げが決定されるわけではないことを基本的に示している」と指摘。「新たなデータの入手に伴い、中銀は政策を対応させていく」と述べた。

インドではインフレ圧力が高まっており、アナリストは中銀は今後、少なくとも50bpの利上げを実施するとの見方を崩していない。

インド中銀は流動性を巡る懸念も注視していたが、中銀が公開市場操作を通した積極的な国債買い入れを行い、市場に流動性を供給してきたこともあり、今回の決定会合後の声明には流動性を巡る言及はほとんどなかった。

ただ声明で「拡大する貿易摩擦や不安定かつ上昇する原油価格、グローバルな金融情勢の引き締めなど世界的な逆風が成長やインフレ見通しに対して相当のリスクをもたらしている」と指摘。「国内のマクロ経済上のファンダメンタルズの一段の強化」が重要となっているとの見解を示した。

DBS銀行(ムンバイ)のエクゼクティブ・ディレクター兼トレーディング部門責任者、アシシュ・バイジャ氏は「中銀は市場よりもルピーの対ドル相場に対して自信を持っているように見える」とし、「差し迫った強いインフレ圧力はないため、中銀はルピー相場よりも金融安定を優先させたようだ」と述べた。

中銀は中期的なインフレ目標を4.00%に維持することも確認。インフレ率は2019年6月までに4.8%となる見通しを示した。前回8月に示した見通しは5.0%だった。

経済成長率については、19年3月までの年度は7.4%、その次の年度は7.6%になるとの見通しを示した。

金利据え置きを受け、インドルピーの対ドル相場は73.65ルピーから74.15ルピーに下落し、過去最安値を付けた。

また指標10年債利回りは8.13%から8.03%に下落した。

*内容を追加しました。

ロイター
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