米原油先物、一時22%高の111ドル台 イラン戦争拡大で供給懸念
9日のアジア時間の取引で、原油先物が約20%上昇し、2022年7月以来の高値を付けた。写真は米テキサス州ミッドランド近郊のパーミアン盆地で2025年に撮影(2026年 ロイター /Arathy Somasekhar)
Yuka Obayashi
[東京 9日 ロイター] - 9日のアジア時間の取引で、原油先物が約20%上昇し、2022年7月以来の高値を付けた。米国とイスラエルの対イラン戦争拡大で、供給逼迫やホルムズ海峡経由の輸送混乱が長期化することへの懸念が高まっている。
イラクとクウェートが原油の減産に踏み切り、液化天然ガス(LNG)減産をすでに始めたカタールに続いた。アナリストはアラブ首長国連邦(UAE)やサウジアラビアも近く減産を余儀なくされるとみている。
北海ブレント先物は一時18.35ドル(19.8%)高の1バレル=111.04ドルまで上昇。0014GMT(日本時間午前9時14分)時点では15.24ドル(16.4%)高の107.93ドル。
米WTI先物は16.50ドル(18.2%)高の107.40ドル。 一時20.34ドル(22.4%)上昇し、111.24ドルを付けた。
先週すでにブレントは27%、WTIは35.6%上昇していた。
ANZのシニア商品ストラテジスト、ダニエル・ハインズ氏は「中東の産油国が貯蔵施設の急速な逼迫を受けて減産に動いているとの報道を受け、今朝は価格が上昇したと思う」と述べた。
さらに「次の焦点は、最終的に油井そのものを閉鎖せざるを得なくなるかどうかだ。そうなれば生産への影響がさらに大きくなるだけでなく、紛争が収束した後の回復も遅れることになる。価格が長期にわたり高止まりする可能性がある」と語った。
業界関係者は8日、イラク南部の主要油田での原油生産量は、ホルムズ海峡経由で原油を輸出できなくなったことを受け、7割減の1日当たり130万バレルとなったと明かした。
また、クウェート石油公社は7日、原油減産を開始し、不可抗力を宣言した。
イランは9日、死亡したハメネイ師の後継となる新たな最高指導者に次男のモジタバ・ハメネイ師を選出した。米国・イスラエルとの紛争が始まって1週間が経過する中、イランで強硬派が依然として確固たる実権を握っていることを示唆した。
楽天証券のコモディティアナリスト、吉田哲氏は、死亡したハメネイ師の息子が新指導者に選ばれたことで、トランプ米大統領が目指すイランの体制転換はより困難になったと指摘。イランがホルムズ海峡の封鎖や他の産油国施設への攻撃を継続するとみられる中、こうした見方から買いが加速したと述べ、WTIは比較的短期に120ドル、さらに130ドルまで上昇する可能性があると予想した。
イスラエル軍は8日、レバノンの首都ベイルートでイランの司令官を攻撃したと発表した。レバノンの死者が過去数日で約400人に上る中、ベイルート中心部に軍事作戦を拡大した。
イスラエル軍はハメネイ師の後継者を標的にすると警告している。また、トランプ米大統領はイランの軍と指導者らが壊滅するまで戦争は終結しない可能性があると示唆している。
供給業者が施設の損傷、物流の混乱、海上輸送リスクの高まりに対処する中、1週間続いた紛争が早期に終結しても、世界中の消費者と企業は数週間から数カ月にわたり燃料価格の高騰に直面する可能性がある。
最大の石油輸出国であるサウジアラビアは紅海からの出荷量を増やしているが、輸送データによると、危機に見舞われているホルムズ海峡からの減少分を補うには程遠い。





