マクロスコープ:上場廃止ラッシュ、2年で倍増 経済安保リスク焦点に
東京証券取引所。2018年10月11日撮影。REUTERS/Issei Kato
Yusuke Ogawa
[東京 27日 ロイター] - 2025年に東京証券取引所で上場廃止する企業は約120社に達し、23年と比べて倍増する見通しだ。上場維持基準の厳格化に加え、株主からの収益圧力が強まっており、東証の上場企業数は2年連続で減少する。
さらに先週、経済産業省が経済安全保障を踏まえた企業経営に関するガイドライン案を公表。被買収による技術流出リスクの高まりを背景に「上場是非の再検討」を推奨したことで、市場からの退出を選ぶ動きは今後さらに広がる可能性も出ている。
上場廃止ラッシュの今週(25-28日)は、システム開発のパシフィックシステムやドラッグストア大手のウエルシアホールディングス、橋梁工事を手がけるコーアツ工業などの6社が株式市場から姿を消す。今年は、上場廃止済み企業と年内の廃止が決定した企業を合わせると、3市場で計122社に達する。
23年は61社だったが、昨年は94社に急増。25年は3桁の大台をすでに突破し、大阪証券取引所と統合した13年以降での最多件数を2年連続更新した。
上場廃止が増えているのは、東証改革の影響が大きい。東証は22年に3市場に再編したうえで上場維持基準を引き上げたほか、翌23年には企業に「資本コストや株価を意識した経営」を要請した。コーアツ工業は鹿児島県を地盤とする建設業の植村グループのTOB(株式公開買い付け)を受け入れて株式を非公開化するが、その理由として、スタンダード市場の上場維持に必要な時価総額(10億円以上)に届かないリスクを挙げる。
他社に買収されたり、親会社に完全子会社化されたりして上場を取りやめるケースも多い。パシフィックシステムを巡っては「親子上場」の解消を目的に、親会社の太平洋セメントがTOBを通じて完全子会社化する。親子上場は欧米では珍しく、日本独特の資本政策とされる。親会社の利益が優先され、子会社の少数株主の利益が損なわれる恐れがあるとして、投資家からの批判が根強く、野村資本市場研究所の調査によると、ピークだった06年度に比べ足元では該当企業数が4割強にまで減少した。
来週は、測量機器メーカーのトプコンの上場廃止が控えている。株主からの短期的なリターンを求める声が強まる中、同社はMBO(経営陣が参加する買収)により中長期目線での投資を実行し、低迷する業績を立て直す考えだ。MBO件数は、今年は25社(26日時点)となり、11年の年間21社以来14年ぶりに過去最高を更新した。
<コア技術流出、産業界全体に影響>
活発化するアクティビストの存在も、上場企業の経営者の頭痛のタネとなっている。ウエルシアHDに関しては、香港の投資ファンドであるオアシス・マネジメントが同業のツルハホールディングス株を大量に購入し、業界再編へと揺さぶりをかけたことが両社の経営統合につながった。株式の持ち合い解消で安定株主が減って、ファンドの意向が以前より通りやすくなっており、今年6月開催の国内企業の株主総会では、アクティビストらから過去最多の株主提案が出されたという。
また今後は高市早苗政権肝いりの経済安保政策が、上場を維持するかどうかの判断に響くかもしれない。経産省は今月20日に開催した有識者会議で、企業経営に関するガイドライン案を公表。買収や資本提携を通じたコア技術の流出は一企業だけでなく日本の産業界全体の優位性の喪失につながる可能性があると記し、経済安保の観点から「上場の是非を含めた資本政策の検討」をするよう提言している。
ガイドライン自体は取り組みを強制するものではなく、同省はパブリックコメント(意見公募)を経て年内をめどに正式公表する方針だ。ニッセイ基礎研究所の森下千鶴研究員は「株価が低迷する企業には少なからず影響を与えるだろう。(上場維持基準の本格適用も踏まえ)市場から退出する企業は、来年はさらに増える見通しだ」と話す。
アモーヴァ・アセットマネジメント(旧日興アセットマネジメント)は、米国では02年の企業改革法(SOX法)制定を機に内部統制の義務が強化され、上場企業数が一時ピークから半減したと指摘。「上場企業の質がより重視される時代が日本にも到来し、(投資家にとっては)優良企業群に投資できる環境へ変化しつつある」との見方を示した。
(小川悠介 編集:橋本浩)
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