ニュース速報
ビジネス

低利回りの超長期債入れ替え継続、国債残高は9年ぶり減少=日本生命・25年度下期運用計画

2025年10月24日(金)18時00分

 日本生命保険は2025年度下期の一般勘定運用で、上期に続き、過去に購入した低利回りの超長期国債を売却し、利回りの上昇してきた国債への入れ替えに注力する計画を示した。写真は同社ビルのロゴの前を横切る男性。2011年4月、東京で撮影(2025年 ロイター/Yuriko Nakao)

Tomo Uetake

[東京 24日 ロイター] - 日本生命保険は2025年度下期の一般勘定運用で、上期に続き、過去に購入した低利回りの超長期国債を売却し、利回りの上昇してきた国債への入れ替えに注力する計画を示した。同社では今年度、日銀のマイナス金利導入を受けた2016年度以来、9年ぶりに日本国債の残高減少を見込んでいる。

都築彰執行役員・財務企画部長が24日、運用方針説明会で明らかにした。

日銀の金融政策正常化で国内金利が上昇(債券価格は下落)する中、同社ではポートフォリオの頑健性を高めるため、数年にわたり、過去に購入した低利回り債券の整理や入れ替えを進めている。同社によると、上期にはいずれも速報値で1兆5000億円(簿価ベース)規模の超長期国債の入れ替えを実施し、約5000億円の売却損を計上した。

これは24年度の入れ替え規模の約2兆円と比べて速いペースとなるが、都築氏は「国内債券の含み損は9月末時点で4兆円超と、今の金利と比べてかなり低い金利で買った債券をまだたくさん持っている。下期についてもしっかり、できる範囲で入れ替えをやっていきたい」と述べた。金利動向にもよるが、下期も同程度の入れ替え規模となることも「可能性としては十分あり得る」という。

また国内金利の上昇に伴い、今年度に減損の基準に抵触した保有債券はなかったという。

一方、国内株式は上期に続き、残高を圧縮する。都築氏は「株価はかなり高く、急速に上がっていて、9月末時点で9兆円超の含み益がある。割高な銘柄については売却したり入れ替えをしたりしているが、そこで売却益が出るので、収支の観点でも国内債券の入れ替えがしやすい環境にある」と述べた。

日銀の金融政策については、今年度は12月か1月の会合で25ベーシスポイント(bp)の利上げ、26年度はさらにもう1回の利上げがあるとのシナリオを想定。その上で、足元で1.65%にある10年国債利回り(長期金利)は今年度末に1.80%に上昇するとみている。

また日本生命の主な投資対象である30年債の利回りは年度末に3%台前半と、足元の3.06%から横ばいからやや上昇すると予想。現在の金利水準は同社の平均負債コストの1.64%を大幅に上回っているが、「ここから横ばいかやや上昇との見通しでいるので、今の水準は魅力的で(買いに)飛びつくという感じではない」(都築氏)という。

このほか、外国債券のうち為替ヘッジ付き外債は、中長期的視点で妙味のある米国債を中心としたソブリンや社債等に投資を行うほか、ヘッジコストの変動に耐性がある変動金利資産を拡充して、残高を増やす。一方、オープン外債は為替や金利水準次第だが、残高は横ばいから増加を見込む。

日本生命の一般勘定の資産残高は、3月末時点で80兆4705億円。うち外貨建て資産は21兆5651億円(26.8%)。

2025年度下期の相場見通し(レンジと年度末)は以下の通り。

日本国債10年物利回り  1.50―2.10%(1.80%)

日本国債30年物利回り    非 公 表   (3%台前半)

米10年国債利回り    3.40―4.60%(3.80%)

日経平均株価       3万9000―5万2000円(4万6000円)

NYダウ         4万2000─5万1000ドル(4万7000ドル)

ドル/円         135―160円 (145円)

ユーロ/円        160―185円 (170円)

(植竹知子)

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

スイス中銀、リオ・ティント株売却 資源採取産業から

ワールド

ドイツ外相の中国訪問延期、会談の調整つかず

ビジネス

ヘッジファンド、AI関連株投資が16年以来の高水準

ワールド

ロシア、米欧の新たな制裁を分析中 国益に沿って行動
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
2025年10月28日号(10/21発売)

高齢者医療専門家の和田秀樹医師が説く――脳の健康を保ち、認知症を予防する日々の行動と心がけ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 2
    「ママ、ママ...」泣き叫ぶ子供たち、ウクライナの幼稚園をロシアが攻撃 「惨劇の様子」を捉えた映像が話題に
  • 3
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシアに続くのは意外な「あの国」!?
  • 4
    ハーバードで白熱する楽天の社内公用語英語化をめぐ…
  • 5
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 6
    「宇宙人の乗り物」が太陽系内に...? Xデーは10月2…
  • 7
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 8
    国立大卒業生の外資への就職、その背景にある日本の…
  • 9
    【ムカつく、落ち込む】感情に振り回されず、気楽に…
  • 10
    汚物をまき散らすトランプに『トップガン』のミュー…
  • 1
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 2
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 3
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 4
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 5
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 6
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシ…
  • 7
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 8
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 9
    「ママ、ママ...」泣き叫ぶ子供たち、ウクライナの幼…
  • 10
    ハーバードで白熱する楽天の社内公用語英語化をめぐ…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中