マクロスコープ:ソフトバンクG株「持たざるリスク」は本物か(下) 米インテル出資に賛否

10月23日、「SBG株を持っていなければ稼げる機会を逃す」という焦燥感から買いが買いを呼ぶ展開が続いており、肝心の事業戦略の分析が置き去りにされている節もある。写真はソフトバンクとインテルのロゴ。8月撮影(2025年 ロイター/Dado Ruvic)
Yusuke Ogawa
[東京 23日 ロイター] - 「SBG株を持っていなければ稼げる機会を逃す」という焦燥感から買いが買いを呼ぶ展開が続いており、肝心の事業戦略の分析が置き去りにされている節もある。市場参加者がはやりに飛びついた結果、短期の相場動向に左右され、22日には株価が前日比で一時10%超下落する場面もあった。実はテクノロジー業界に詳しい識者からは、SBGの相次ぐ大型投資案件に対して慎重な見方が少なくない。
インテル出身で、現在は米調査会社オムディアのコンサルティングディレクターを務める安生健一朗氏は、今夏にSBGが発表した20億ドルに及ぶインテルへの出資について「トランプ政権の経済安全保障政策を背景に、米国内の半導体工場の価値が高まっている。スターゲート計画で建設したデータセンターに、インテル製の半導体を活用することもできるだろう」と一定の評価を示す。
ただし、「半導体の歴史を振り返ると、一度脱落した企業で復活した例はほとんどない。近年の度重なる人員削減で優秀な人材が競合他社に流出しており、(事業の再生は)歴史的な挑戦になるだろう」と釘を刺した。
半導体業界のコンサル会社グロスバーグの大山聡代表は「高い技術力を持つとはいえ、訳あり商品を買った印象だ。赤字の製造部門を切り離さずに、会社全体に出資するのならばSBGの抱えるリスクは大きい」と指摘。
設備の稼働率を高めるために、アームが開発した半導体をインテルで生産するという見立てに関しては、「そもそも工場を持たず、設計(ライセンス供与)に特化するのがアームの信条だったはず。独自チップの投入は、顧客の半導体メーカーと競合することになり、果たして納得を得られるのだろうか」と疑問を呈した。
収益機会の拡大を模索するアームは、まずは台湾積体電路製造(TSMC)に生産を委託し、データセンター向けの独自半導体を年内にも供給する計画とされるが、「大きな曲がり角になる。経営陣に焦りが強まっており、もはや安定したビジネスモデルの会社とは言い難い」(大山氏)。SBGの保有株式価値の約半分を占めるアームの業績が今後停滞すれば、当然SBGの時価純資産(NAV)にも多大な影響が生じることになる。
<クレイジーな賭け、識者警鐘>
AI市場拡大への期待が過剰に膨らんだ「AIバブル」に対する懸念も根強い。海外のテック事情に精通するベンチャーキャピタル、リブライトパートナーズの蛯原健代表は「おそらく来年あたりにバブルの調整局面が来るのではないか」と予測する。
米マイクロソフトが世界各地でAI向けデータセンターの建設計画を縮小していると報じられるなど、すでに兆しは出ている。国際通貨基金(IMF)も今月、AIバブルの崩壊を世界経済のリスク要因として名指しした。
米ウーバー・テクノロジーズや中国のネット不動産仲介の貝殻找房など、国や業種をまたがって様々なユニコーン(企業価値が10億ドルを超える未上場企業)に投資をしていた頃とは異なり、「今やSBGはオープンAIやエヌビディアをはじめ、AI・半導体分野の企業の株式を大量に保有しているため、潮が引いた時に少なくとも一時的には大きな損失を被る可能性が極めて高い」と蛯原氏は語る。
その上で、「最近の相次ぐ大型投資の発表により世間はその金額規模に麻痺しがちだが、一つの案件の失敗だけでも会社が傾きかねず、クレイジーとも言えるレベルのリスクを背負っているように見える」と警鐘を鳴らした。
(小川悠介 編集:橋本浩)
●ソフトバンクグループによるAIや半導体分野の大型投資案件
24年7月:AI半導体の英グラフコア買収を発表
25年1月:米国内のAIインフラを整備する「スターゲート計画」発表、総額5000億ドル投資
3月:半導体設計の米アンペア・コンピューティングを65億ドルで買収すると発表
4月:米オープンAIに追加出資、25年末までに最大300億ドル
8月:米インテルに20億ドル出資すると発表
10月:スイスABBのロボット事業を53億ドルで買収すると発表
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