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AIによる労働者の置換に懐疑的=米ミネアポリス連銀総裁

2025年10月08日(水)04時08分

米ミネアポリス地区連銀のカシュカリ総裁は7日、人工知能(AI)で労働者を急速に置き換えるという企業の「大げさな主張」に懐疑的な姿勢を示した。2023年5月、ニューヨークで撮影(2025年 ロイター/Mike Segar)

[7日 ロイター] - 米ミネアポリス地区連銀のカシュカリ総裁は7日、人工知能(AI)で労働者を急速に置き換えるという企業の「大げさな主張」に懐疑的な姿勢を示した。過去の技術開発が経済の中で日常的に利用できるようになるまで長い時間を要したと指摘した。

カシュカリ氏はミネアポリス・スター・トリビューン紙主催のノース・スター・サミット2025で、「多くの労働者がAIに置き換えられるという状況には懐疑的だ。そうした証拠もまだ見つかっていない」とし、AIが経済に与える影響を判断するのはあまりにも時期尚早だと感じると述べた。

同時に、AIツールの活用により仕事の性質は変化するものの、労働者は経済において非常に重要な役割を担っているとの考えを示した。

同サミットには、米オープンAIのチーフエコノミスト、ロニー・チャタジー氏も参加した。

同氏はまた、たとえFRBが政策金利を引き下げたとしても、AIデータセンターへの巨額投資が金利を押し上げる傾向があるとの見方を提示。「住宅やアパートの建設に充てられるはずだった資金が、より高い投資収益を生み出すデータセンターの建設に転用されているため、住宅ローン金利の低下にはつながらない可能性がある」と述べた。

「もしFRBが経済的に正当化される範囲を超えて金利を大幅に引き下げれば、経済は事実上過熱しているため、おそらく失業率は非常に低くなりインフレ率は非常に高くなるだろう」との見通しを示した。

その上で、9月米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.25%ポイントの利下げを支持し、労働市場の弱体化を防ぐために、FRBは今月下旬と12月の2回のFOMCでも同規模の利下げを行うべきだとの考えを示した。

この日のイベントでは、AIが経済に与える影響に主に焦点が当てられており、金融政策に対する見解については詳しく述べなかったが、AIが雇用市場減速の主因であるとは考えていないことを明確にした。

ロイター
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