中国7月指標、鉱工業生産・小売売上高が減速 予想も下回る

中国国家統計局が15日発表した7月の鉱工業生産は前年比5.7%増と、6月の6.8%増から減速し、市場予想の5.9%増を下回った。写真は江蘇省宿遷の産業開発区にある工場の生産ラインで働く人々。4月撮影。チャイナ・デーリー提供(2025年 ロイター)
Kevin Yao Joe Cash Yukun Zhang
[北京 15日 ロイター] - 中国国家統計局が15日発表した7月の鉱工業生産は前年比5.7%増と、6月の6.8%増から減速し、市場予想の5.9%増を下回った。
7月の小売売上高は3.7%増加。こちらも6月の4.8%増から伸びが鈍化し、予想の4.6%増を下回った。
1─7月の固定資産投資は1.6%増加。予想は2.7%増、1─6月は2.8%増だった。
鉱工業生産の伸びは2024年11月以来の低水準。小売売上高も24年12月以来の低い伸びとなった。
米中貿易摩擦が一時休戦となっているものの、国内需要の低迷やデフレ圧力、過当競争が企業収益を圧迫している。
記録的な猛暑や洪水などの異常気象も、工場の生産や事業活動を妨げ、経済に悪影響を及ぼしている。雇用不安や米中貿易戦争の先行き不透明感が続く中、政府は家計消費の喚起に苦心している。
中国経済はこれまで、政府の支援策や米国への駆け込み輸出などで急減速を回避してきた。ただ、アナリストは、国内需要の弱さと世界的なリスクが今後も成長の重荷になるとみている。
ロイターの最新のアナリスト調査では、中国の国内総生産(GDP)成長率は第3・四半期に4.5%、第4・四半期には4.0%に減速すると予測されている。
通年では24年の5.0%から4.6%に減速し、26年にはさらに4.2%まで落ち込むとの見通しが示されている。
エコノミスト・インテリジェンス・ユニットのシニアエコノミスト、徐天辰氏は「経済は政府の支援にかなり依存している。問題は、そうした対策が25年初めに『前倒し』で実施され、その影響が今やいくらか薄れていることだ」と指摘した。
コンファレンス・ボード中国センターの主席エコノミスト、Yuhan Zhang氏は「企業が既存の生産能力を活用しており、新たな工場を建設していない可能性がある」と分析。
一方で、自動車、鉄道、造船、航空宇宙産業など「政策主導型のハイテク・戦略セクターには、依然として多額の資本が流入している」と述べた。
国家統計局の報道官は、「無秩序な」競争に対する政府の取り締まりは物価の回復に役立つだろうと語った。
不動産部門の低迷が長引いていることも、個人消費を圧迫する要因となっている。7月の新築住宅価格は前年同月比2.8%下落。6月は3.2%下落だった。
INGの大中華圏担当チーフエコノミスト、リン・ソン氏はノートで「ここ数カ月で不動産価格の低迷が加速していることは、さらなる政策支援が必要であることを示している」と述べた。
キャピタル・エコノミクスの中国担当エコノミスト、ツーチュン・フアン氏は「今年中に景気回復を期待する理由はほとんどない。最近の共産党政治局会議で追加的な財政支援が約束されなかったことは、財政の追い風が弱まりつつあることを示している」と語った。