トランプ氏、「ブラックウェル」縮小版の中国販売認める可能性示唆
米当局者は10日、半導体大手のエヌビディアとアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD) が人工知能(AI)に使用される先端半導体の中国向け販売から得る売上高の15%を米政府に支払うことに同意したと、ロイターに明らかにした。写真はエヌビディアのロゴ。台北で2017年5月撮影(2025年 ロイター/Tyrone Siu)
Karen Freifeld
[11日 ロイター] - トランプ米大統領は11日、半導体大手エヌビディアの次世代高性能GPU(画像処理半導体)の縮小版を中国で販売することを許可する可能性を示唆した。
米国の人工知能(AI)技術が軍事力強化に利用される可能性への根強い懸念がある中、中国がより高度なコンピューティング能力を確保する道を開く可能性がある。
トランプ氏は記者団に対し、「ジェンスン(エヌビディアCEOのフアン氏)は新しいチップであるブラックウェルも持っている。ネガティブな意味で多少強化されたブラックウェルだ。言い換えれば、30%から50%削減するということだ」と述べた。ブラックウェルの演算能力を大幅に削減することを示唆したとみられる。
トランプ氏は、フアン氏がこの件で再度トランプ氏に会いに来ると思うと語った。
これに先立ち、トランプ政権はエヌビディアとアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)がAIに使用される先端半導体の中国向け販売から得る売上高の15%を米政府に支払うという取引について確認した。
この取引については両社が合意したと、米当局者が10日に明らかにしていた。エヌビディアの「H20」などが含まれる。
トランプ政権は4月、H20の中国向け販売を停止したが、エヌビディアは先月、米政府が販売再開を許可する見込みだと明らかにしていた。
別の米当局者は8日、商務省がH20の中国向け輸出許可の付与を開始したと述べた。
エヌビディアの広報は、販売収入の15%を米政府に支払うことに同意したかとの質問に対し、「当社は世界市場への参加について米政府が定める規則に従う」と回答。また「当社は数カ月にわたり中国にH20を出荷していないが、輸出管理規則によって米国が中国や世界で競争できるようになることを期待する」と述べた。
AMDの広報は、一部のAIプロセッサーを中国に輸出する申請が承認されたと述べたが、収益分配契約については直接触れず、同社の事業は米国の全ての輸出規制を順守しているとした。
英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)によると、エヌビディアとAMDは自社半導体の輸出許可取得の条件としてこの取り決めに同意し、AMDは「MI308」などが対象になる。トランプ政権は資金の使途をまだ決定していないという。
米シンクタンク、新米国安全保障センターのジェフ・ガーツ上級研究員は「狂気じみている」と述べた。「中国へのH20販売は国家安全保障上のリスクであるか、そうでないかのどちらかだ」とし、「リスクならそもそも販売すべきでなく、リスクでないなら、なぜ販売にペナルティーを加える必要があるのか」と疑問を呈した。
米当局者は、トランプ政権はH2Oや同等の半導体の販売が米国の安全保障を損なうとは考えていないと述べた。企業側との合意がいつ、どのように実施されるかは不明だが、政権は法令を順守すると強調した。
バイデン前政権で商務省顧問を務めたアラスデア・フィリップス・ロビンス氏は「報道が事実なら、政権が安全保障の保護を放棄して財務省の歳入を得ようとしていることを示すものだ」と批判した。
中国外務省は11日、コメント要請に対し、米国製半導体の対中輸出問題については自国の立場を繰り返し表明してきたと述べた。同省は、米国が技術・貿易問題を利用して「悪意をもって中国を封じ込め、抑圧している」と非難している。
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