FRB当局者、インフレ懸念表明 長期の金利据え置き支持示唆

6月5日、米連邦準備理事会(FRB)の政策当局者2人はインフレ率の上昇が今のところ労働市場の減速よりも差し迫ったリスクだという考えを示し、金融政策を長期間据え置くことへの支持を示唆した。シカゴのスーパーで2022年11月撮影(2025年 ロイター/Jim Vondruska)
[5日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)の政策当局者2人は5日、インフレ率の上昇が今のところ労働市場の減速よりも差し迫ったリスクだという考えを示し、金融政策を長期間据え置くことへの支持を示唆した。
クーグラー理事はニューヨーク経済クラブの講演で、「現時点でインフレの上振れリスクは高まっており、今後は雇用と国内総生産(GDP)の下振れリスクも潜在的に高まるとみている」とした上で、インフレの上振れリスクが残る限り、連邦公開市場委員会(FOMC)では政策金利の据え置きを引き続き支持すると述べた。
トランプ政権による関税措置はすでに物価を押し上げているとし、経済が冷え込んでいる兆候はあるものの、「まだ大幅な減速ではない」と指摘した。
カンザスシティー地区連銀のシュミッド総裁もこの日講演し、米経済は近年と同様にリセッション(景気後退)を回避できるという楽観的な見方を示した。
総裁は物価上昇圧力が向こう数カ月で顕在化する可能性があるとし、関税措置でインフレが再燃する恐れに懸念を示した。ただ、全容が明らかになるまで時間がかかるとの見方も示した。
「関税措置で物価が押し上げられる可能性が高いものの、どの程度物価が上昇するかは不透明で、全容が明らかになるまで時間がかかる。経済成長と雇用に対する下押し圧力の程度も、同様に不透明だ」と語った。
今後発表される経済データがこの見方を裏付けるかもしれない。6日に発表される5月の雇用統計では、失業率は4.2%と3カ月連続で横ばいになると予想されている。非農業部門雇用者数は13万人増と、4月の17万7000人増より少ないものの、健全な労働市場を示すとされる約10万人増は大きく上回ると予想されている。
一方、来週発表される5月の消費者物価指数(CPI)は、広範な関税の影響が高価格帯の商品やサービスに表れ、インフレが再加速するとみられている。
FRBは17─18日の連邦公開市場委員会(FOMC)で金利据え置きを決定する見通し。
また5日はフィラデルフィア地区連銀のハーカー総裁も講演し、経済見通しは現時点ではあまりにも不安定で、今後の金融政策について言及することはできないと述べた。
ハーカー総裁は「米経済は依然として底堅い」とし、「(経済)基盤に危険な亀裂は見当たらない。ただ、この基盤にはストレス要因が存在している」と述べた。