米貿易赤字、3月は過去最大の1405億ドル 駆け込み輸入で

米商務省が6日発表した3月の貿易赤字は、前月比14.0%増の1405億ドルと、過去最大となった。写真は3月、カリフォルニア州オークランド港で撮影(2025年 ロイター/Carlos Barria)
Lucia Mutikani
[ワシントン 6日 ロイター] - 米商務省が6日発表した3月の貿易赤字は、前月比14.0%増の1405億ドルと、過去最大となった。関税導入を前にした企業の駆け込み輸入が背景。ロイターがまとめた市場予想は1370億ドルの赤字だった。
トランプ米大統領の広範囲な関税措置により、コスト増回避のための駆け込み輸入がさらに加速した。
メキシコ、英国、アイルランド、オランダ、ベルギー、フランス、ドイツ、イタリア、インド、ベトナムからの輸入が過去最大を記録した。一方、中国からの輸入は、2020年3月の新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)以来、5年ぶりの低水準となった。
3月の輸入は4.4%増の4190億ドルと、過去最大を記録。財(モノ)の輸入は5.4%増の3468億ドルと、同じく過去最大となった。医薬品を中心とした消費財が225億ドル増と過去最大となったことが主因だった。
資本財は37億ドル増と、過去最大を記録。自動車、部品、エンジンは26億ドル増加した。
一方、工業資材と原油の輸入は、それぞれ107億ドル、12億ドル減少した。
輸出は0.2%増の2785億ドルと、こちらも過去最大となった。モノの輸出は0.7%増の1832億ドルと、22年7月以来の高水準となった。工業資材および原材料が22億ドル増加したことが寄与した。
自動車、部品、エンジンの輸出は12億ドル増加。一方、資本財は15億ドル減。民間航空機の出荷が18億ドル減少した。
サービスの輸出は9億ドル減の952億ドルとなった。旅行サービスの13億ドル減が響いた。
商務省が4月30日発表した第1・四半期の実質国内総生産(GDP)速報値は年率換算で前期比0.3%減と、3年ぶりのマイナス成長に陥った。
エコノミストは、輸入の急増が5月までに落ち着き、第2・四半期のGDP回復につながる可能性があると予想する。ただ、輸入減による押し上げ効果は、他国による米国製品の不買運動や米国旅行離れに伴う輸出減により相殺される可能性があるとの見方も聞かれる。
中国とのモノの貿易赤字は248億ドルと、前月の266億ドルから縮小。カナダとの貿易赤字も49億ドルと、前月の74億ドルから縮小した。メキシコとの赤字はほぼ横ばいだった一方、英国との貿易黒字は縮小した。
FWDBONDSのチーフエコノミスト、クリストファー・ラプキー氏は、関税措置が本格的に始まったのはトランプ氏が「解放記念日」と名付けた4月2日以降であることから、「最悪の事態はまだこれからだ」との見方を示した。