ニュース速報
ビジネス

貿易戦争、ユーロ圏の成長とインフレ抑制も=ECBチポローネ氏

2025年04月29日(火)19時28分

 欧州中央銀行(ECB)のチポローネ専務理事は29日、世界的な貿易戦争はユーロ圏の経済成長率とインフレ率を抑制し、関係国に「明白な景気下押し圧力」をもたらす恐れがあるとの見解を示した。写真はスペイン・ビーゴ港。3月撮影(2025年 ロイター/Nacho Doce)

[フランクフルト 29日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)のチポローネ専務理事は29日、世界的な貿易戦争はユーロ圏の経済成長率とインフレ率を抑制し、関係国に「明白な景気下押し圧力」をもたらす恐れがあるとの見解を示した。

「最近の貿易政策の不確実性の高まりにより、ユーロ圏の企業投資は初年度に1.1%減少し、2025─26年の実質国内総生産(GDP)成長率は約0.2%ポイント低下する可能性がある」と述べた。

「金融市場のボラティリティーの上昇は、25年の成長率が約0.2%ポイント押し下げられることを示唆しているかもしれない」と語った。

インフレへの影響は明確ではなく、短中期的にはユーロ圏にディスインフレをもたらす可能性があるとの見方を示した。

「関税引き上げの長期的な影響が、特にインフレ率の上昇、成長の鈍化、米国の債務増加という形で表れれば、国際貿易・金融におけるドルの支配的役割に対する信頼が損なわれる可能性がある」とも述べた。

主要経済国は保護主義に代わる方策を模索する必要があると強調する一方で、中銀は「強固な緊急時対応計画と危機管理の枠組み」を通じて「資本フローの突然の停止、決済の混乱、為替市場の変動に備える必要がある」と訴えた。

「自由貿易の維持に取り組む主要20カ国・地域(G20)諸国は、近隣窮乏化政策を回避するため国際貿易会議を招集し、不確実な時期において世界経済を支え、世界的な不均衡の削減に貢献できる」と呼びかけた。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、「ゴールデン・ドーム」詳細発表か 東部

ワールド

マスク氏、政治献金削減へ テスラCEOあと5年継続

ワールド

中国、WHOに今後5年間で5億ドル追加拠出へ 米に

ワールド

トランプ氏「対応を検討中」、EU・英の対ロシア追加
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:関税の歴史学
特集:関税の歴史学
2025年5月27日号(5/20発売)

アメリカ史が語る「関税と恐慌」の連鎖反応。歴史の教訓にトランプと世界が学ぶとき

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    コストコが「あの商品」に販売制限...消費者が殺到した理由とは?
  • 3
    【クイズ】世界で1番「太陽光発電」を導入している国は?
  • 4
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 5
    「空腹」こそが「未来の医療」になる時代へ...「ファ…
  • 6
    【裏切りの結婚式前夜】ハワイにひとりで飛んだ花嫁.…
  • 7
    中ロが触手を伸ばす米領アリューシャン列島で「次の…
  • 8
    小売最大手ウォルマートの「関税値上げ」表明にトラ…
  • 9
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山…
  • 10
    トランプは日本を簡単な交渉相手だと思っているが...…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 3
    ワニの囲いに侵入した男性...「猛攻」を受け「絶叫」する映像が拡散
  • 4
    中ロが触手を伸ばす米領アリューシャン列島で「次の…
  • 5
    「運動音痴の夫」を笑う面白動画のはずが...映像内に…
  • 6
    コストコが「あの商品」に販売制限...消費者が殺到し…
  • 7
    【クイズ】世界で1番「太陽光発電」を導入している国…
  • 8
    ヤクザ専門ライターが50代でピアノを始めた結果...習…
  • 9
    トランプ「薬価引き下げ」大統領令でも、なぜか製薬…
  • 10
    サメによる「攻撃」増加の原因は「インフルエンサー…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山…
  • 5
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 6
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 7
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 8
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 9
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 10
    ワニの囲いに侵入した男性...「猛攻」を受け「絶叫」…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中