インタビュー:高付加価値なら米関税を克服可能、農水産物は「有望」=ジェトロ理事長

5月1日、日本貿易振興機構(ジェトロ)の石黒憲彦理事長(写真)は、ロイターのインタビューに応じ、「本当に付加価値が高いものは強く、米国側が関税を払ってでも輸入する」と述べ、トランプ米政権が高い関税を課す中で「不可欠性」の高い製品開発や技術革新を加速することが重要と強調した。同日、東京で撮影(2025年 ロイター/Kentaro Okasaka)
Kentaro Okasaka
[東京 1日 ロイター] - 日本貿易振興機構(ジェトロ)の石黒憲彦理事長は1日、ロイターのインタビューに応じ、「本当に付加価値が高いものは強く、米国側が関税を払ってでも輸入する」と述べ、トランプ米政権が高い関税を課す中で「不可欠性」の高い製品開発や技術革新を加速することが重要と強調した。日本の農産物を例に挙げ、輸出を後押しする考えを示した。
日本の農産物は昨年初めて輸出額が1兆5000億円を超え、輸出先として米国が中国を上回って1位となった。今後さらに伸びが期待されていたが、米国がすべての輸入品に一律10%を課税することを決めたことから、石黒理事長は「正直ショック」と語った。
日本政府は近くトランプ政権と2回目の関税交渉を開く。自動車に課された25%をはじめ、日本を関税の対象から除外することを目指し、米国産の農産物輸入拡大を手札の1つとする案が浮上している。
石黒理事長は、逆に日本の農産物の潜在力の高さを指摘。日本食ブームの影響や、これまで培ってきた流通ルートがあり、高級牛肉やお茶などは「相変わらず強いという見方もある」と話した。「引き続き米国は農林水産物の輸出市場として有望だ」とし、ジェトロとしても支援を続ける姿勢を示した。
<米国一辺倒の教訓>
日本政府はトランプ政権との交渉に当たり、直接投資や雇用創出を通じた日本企業の米国経済に対する貢献をアピールしてきた。ジェトロが日本企業に実施する年次調査では、昨年も最重視する輸出先として25%が米国を挙げ、事業の拡大先としても米国を重視する企業が最も多かった。
石黒氏は「米国の魅力的な市場としての基本的価値は変わらない」と説明。しかし、関税で米国内のコストが上昇し、移民政策で人材確保が厳しさを増しているとし、「政策の予測困難さが企業の意思決定を遅らせ、投資意欲を削いでいる」と述べた。
関税を巡る今回の事態を受け、日本企業は「米国一辺倒ではなく、新たなフロンティアを求めて多角的な展開が必要」との教訓を得たと石黒氏は分析。日本の協力なくして米国の繁栄はないと米側に訴え続けつつ、東南アジア諸国連合(ASEAN)や包括的・先進的環太平洋経済連携協定(CPTTP)加盟国間の連携を強化することの重要性に言及した。
<「3─4カ月で影響顕在化」>
日本企業の間で製造拠点を米国に移す動きが出てくるかどうかについては、「明確な判断をしている企業はまだない」と話した。「(相互関税などが)現実に施行されるかどうかが不透明なのと、進出を決めて工場が建つまで最低でも2年、許認可などを含めると4年はかかる」とした。進出企業に対しては、現地の規制を踏まえ、用地あっせんや工場からの排水などで州政府と橋渡しするといった支援に普段から取り組んでいるという。
既に米国に工場を持つ企業の中には、一部で計画していた日本への生産回帰を取りやめ、米国での増産を決めたケースもあると説明。米国で現地生産せず、日本から輸出する自動車メーカーの場合、価格転嫁ができるかどうかや、生産台数を減らすかどうかなどの議論が行われると見通した。
関税の影響は3─4カ月で顕在化してくるとし、必要に応じて政府系金融機関と連携したつなぎ融資など金融支援も行われる見通しだと述べた。
(岡坂健太郎 編集:久保信博)
*写真を追加しました。
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