ニュース速報
ビジネス

テスラ、第1四半期売上高が予想下回る マスク氏「経営に時間割く」

2025年04月23日(水)10時49分

米テスラの第1・四半期粗利益率は16.3%で、市場予想の15.82%を上回った。昨年11月、米カリフォルニア州で撮影(2025年 ロイター/Mike Blake)

By Akash Sriram, Abhirup Roy, Chris Kirkham

[22日 ロイター] - 米電気自動車(EV)大手テスラが22日発表した第1・四半期決算は、売上高が193億4000万ドルで、LSEGが集計した市場予想の211億1000万ドルを下回った。

中国勢との競争が激化する中、同四半期の納車台数は13%減少した。

こうした中、イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は来月からトランプ政権に充てる時間を大幅に減らし、テスラ経営に時間をより割いていくと表明。テスラ株は決算電話会見が始まる直前の時間外取引で4%上昇していたが、マスク氏の発言で5.5%高まで加速した。

投資家は「政府効率化省(DOGE)」に関与しているマスク氏がテスラ経営にどれだけ時間を費やしているのか疑念を抱き、株式を売却していた。

連邦政府の人員削減を主導するマスク氏の行動は一部で怒りを招いており、テスラ最大の国内市場となっているカリフォルニア州での販売台数は激減。同氏はアナリストとの電話会見で、自社に否定的な反応があることを認めた。

マスク氏は「DOGEチームを発足させ、政府と協力して財政状況を整理するために必要な大がかりな作業はほぼ終わった」と説明。ただ、自身の時間の4割ほどをDOGEになお費やすつもりだと述べた。

また、関税の引き下げを支持し続けるとした上で、テスラは「マクロ的な自動車需要」と無縁ではないと指摘。経済的な不確実性が自動車のような大型商品購入を控えさせているとの認識を示した。「マクロ的な問題がなければ需要は減っていない」という。

関税はテスラのエネルギー事業に大きな影響を与えるとも述べた。

個人的にテスラ株を保有しているキャメルソーン・インベストメンツの顧問兼投資家ショーン・キャンベル氏は「マスク氏がテスラにより多くの時間を割くことは株価にとってプラスに働くと思うが、株価に意味のある動きを及ぼすには『マスク氏、テスラに再集中するためDOGE離脱へ』のような見出しが必要だろう」と話した。

<純利益71%減>

自動車部門の売上高は2割落ち込み、純利益は71%減少した。これらの指標はいずれも市場予想を下回った。

一方、自動車部門の粗利益率(環境規制クレジット除く)は12.5%と、ビジブル・アルファがまとめたアナリスト21人の予想である11.8%を上回った。

テスラは「世界貿易政策の変化が、自動車およびエネルギーのサプライチェーン、テスラのコスト構造、耐久消費財や関連サービスの需要にどのように影響するかを見極めるかは困難」とし、2025年の業績見通しを第2・四半期に見直す方針を示した。

第1・四半期の粗利益率は16.3%で、市場予想の15.82%を上回った。EV車販売台数は減少したものの、利益率の高いサービス部門やエネルギー貯蔵部門などの売上高の伸びが好調だったことが背景。

インベスティング・ドットコムのシニアアナリスト、トーマス・モンテイロ氏は「売上高から利益率に至るまで低迷が続くと予想された中、テスラの投資家はそれほど悪くない数字を歓迎すべきニュースとして受け止めている」と指摘。「もしこれがテスラにとって最悪の事態で、待望の低価格EVや自動運転タクシー(ロボタクシー)といった追い風が年内に市場に出てくれば、株価はある程度上向くに違いない」と述べた。

<低価格EV計画を再確認>

テスラはこれまで、今年前半に低価格EVをリリースするとしており、22日にはこの計画を再確認した。

ロイターはこのほど、関係筋の話として、テスラが計画する低価格EVにはスポーツ多目的車(SUV)「モデルY」の米国製バージョンが含まれているが、生産開始は遅れていると報じた。

エンジニアリング担当副社長のラース・モラビー氏は電話会見で「立ち上がりは当初期待していたよりも遅くなるかもしれない」としながらも、公表スケジュール内の生産開始を妨げるものは何もないと述べた。

テスラはまた、6月にテキサス州オースティンでロボタクシーサービスを開始する計画も予定通りだと明らかにした。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

香港火災の死者128人に、約200人が依然不明 報

ビジネス

仏GDP、第3四半期確報は前期比+0.5% 速報値

ワールド

東南アジアの洪水、死者183人に 救助・復旧活動急

ビジネス

電気・ガス代支援と暫定税率廃止、消費者物価0.7ポ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 3
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 4
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 5
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 6
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体…
  • 7
    「攻めの一着すぎ?」 国歌パフォーマンスの「強めコ…
  • 8
    がん患者の歯のX線画像に映った「真っ黒な空洞」...…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    7歳の娘の「スマホの検索履歴」で見つかった「衝撃の…
  • 1
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 2
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 3
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やってはいけない「3つの行動」とは?【国際研究チーム】
  • 4
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 5
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 6
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 7
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 8
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 9
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 10
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中