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フィンテック企業、株価大幅下落 トランプ関税で動揺

2025年04月08日(火)12時51分

 米インターネット証券のロビンフッド・マーケッツや後払い決済(BNPL)サービス会社アファーム・ホールディングスといったフィンテック企業は、トランプ米大統領の関税措置を受けて消費者向け金融事業の収益が悪化するとの懸念から株価が大きく下落している。写真はニューヨークのウォール街でのイベントで2021年7月撮影(2025年 ロイター/Andrew Kelly)

[7日 ロイター] - 米インターネット証券のロビンフッド・マーケッツや後払い決済(BNPL)サービス会社アファーム・ホールディングスといったフィンテック企業は、トランプ米大統領の関税措置を受けて消費者向け金融事業の収益が悪化するとの懸念から株価が大きく下落している。

投資家は、トランプ氏の関税措置が物価上昇、需要減退、世界的な景気後退につながる可能性があると懸念しており、こうした状況はフィンテック企業にとって逆風となる。フィンテック企業の多くは、消費者が債務を返済する能力や所得の一部を株式などの投資に振り向けることができる状況に大きく依存している。

アファームやロビンフッドなど一部のフィンテック企業はまた、デビットカードとクレジットカードによる決済から手数料を徴収している。こうした収入は、消費が冷え込めば影響を受ける恐れがある。

アナリストの話では、銀行は顧客基盤を多様化させて突然の市場収縮から受ける影響を和らげることができるが、フィンテック企業は経済的衝撃の矢面に立たされる消費者を主な顧客層としている。

調査会社ピッチブックの新興テクノロジー調査ディレクター、ジェームズ・ユーラン氏は「景気後退は通常、生活必需品以外の消費者向け事業を他のセクターよりも強く直撃する。景気後退局面で最初に支出を削減する層は低所得の消費者だからだ」と述べた。

トランプ氏が2日に相互関税を発表して世界貿易戦争を仕掛けて以降、アファームの株価は21%余り下落、ロビンフッドは17%余り下げた。融資などの金融サービスをオンラインで提供するソーファイ・テクノロジーズは約20%下落した。

一方、一部のアナリストはフィンテック企業の先行きをなお楽観視している。

みずほセキュリティーズのシニアアナリスト、ダン・ドレフ氏は、仮にトランプ氏の関税措置により米国債利回りが低下すれば、企業の資金調達コストが大きく低下する可能性があり、貸し手にとって返済繰り延べのリスクは軽減されると指摘。「これは(フィンテック)企業全体にとって予期せぬプラスの影響となり得る。私は、現時点で相場に織り込まれている見方よりも大きく楽観視している」と話した。

また投資家は依然として、トランプ氏が関税を巡る交渉に門戸を開いており、打撃を和らげる可能性があると希望を持ち続けている。フィンテック企業イントロアクトの調査アナリスト、ニック・トンプソン氏は、こうした希望が市場の景気後退観測の修正に結び付く可能性があると指摘。「これまでに実際に被ったダメージは心理的な面に限られ、仮にそうした心理が早期に修復されれば、状況は極めて速く回復する可能性があると思う」と話した。

ロイター
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