ニュース速報
ビジネス

街角景気7月は1.5ポイント上昇、賃上げなどが円安・物価高の影響相殺

2024年09月09日(月)18時20分

内閣府が9日に発表した8月の景気ウオッチャー調査で、景気の現状判断DIは49.0となり、前月比1.5ポイント上昇した。写真は2020年3月に東京都内で撮影(2024年 ロイター/Edgard Garrido)

Tetsushi Kajimoto

[東京 9日 ロイター] - 内閣府が9日に発表した景気ウオッチャー調査は、現状判断DIが49.0と、前月から1.5ポイント上昇した。値上げの浸透とともに賃上げも進み、円安やそれに伴う物価高の影響を相殺した。指数は3カ月連続で上昇し、内閣府は判断を上方修正して「緩やかな回復が続いている」とした。判断の上方修正は2023年5月以来。

指数を構成する3項目のうち、家計動向関連DIは1.8ポイント上昇の49.0、雇用関連は2.6ポイント上昇の49.7だった。一方、企業動向関連は0.3ポイント低下の48.4だった。

前月までの判断は「緩やかな回復基調が続いているものの、このところ弱さがみられる」だった。

みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは、賃金上昇と円安の修正による家計部門主導の景気回復を裏付けるものだと評価する。一方、米景気の減速懸念で「ドル安、円高が進むことが予想される。日米ともに直面する下振れリスクへの対応をどうするか、難しいかじ取りを迫られるだろう」と話す。

回答者からは、価格転嫁が順調に進んでいるとの声や求人が増えて雇用にプラスだったとの声、賃上げによる可処分所得増加を評価するコメントが多く出ていた。また、お盆の日並びが良かったことや暑さが和らいだことによる客足の増加、自動車メーカーによる不正検証問題からの生産回復を指摘する声もあった。その他、8月8日に政府が南海トラフ地震臨時情報を出したことで水を中心に備蓄商品の販売が増え売り上げ増につながったとのコメントもあった。

内閣府の幹部は、こうしたプラス要因が「円安・物価上昇による消費減退といった悪影響を相殺するものだった」と説明した。

2─3カ月先の景気についてのDIは前月から2.0ポイント上昇の50.3と3カ月連続で上昇し、3月以来初めて、拡張を示す50を上回った。

内閣府は先行きについて「価格上昇の影響などを懸念しつつも、緩やかな回復が続くとみている」とした。

景気ウォッチャー調査は毎月25日から月末まで行われ、翌月上旬に公表される。タクシー運転手やホテル従業員をはじめサービス業の最前線で働く人びとの声を拾っており、足元の個人消費の動向を見る上で最も早い調査として注目される。

*内閣府の発表資料は以下のURLでご覧になれます。

https://www5.cao.go.jp/keizai3/watcher_index.html

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

イスラエル、ソマリランドを初の独立国家として正式承

ワールド

ベネズエラ、大統領選の抗議活動後に拘束の99人釈放

ワールド

ゼレンスキー氏、和平案巡り国民投票実施の用意 ロシ

ワールド

ゼレンスキー氏、トランプ氏と28日会談 領土など和
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指すのは、真田広之とは「別の道」【独占インタビュー】
  • 4
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 5
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 6
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 7
    赤ちゃんの「足の動き」に違和感を覚えた母親、動画…
  • 8
    中国、米艦攻撃ミサイル能力を強化 米本土と日本が…
  • 9
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 10
    【世界を変える「透視」技術】数学の天才が開発...癌…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 6
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 7
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 8
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 9
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中