ニュース速報
ビジネス

国債先物は続落、長期金利約12年半ぶり高水準1.075% 

2024年05月29日(水)16時00分

 5月29日の東京円債市場で国債先物中心限月6月限は前営業日比38銭安の143円12銭と続落して取引を終えた。 写真は円紙幣。2022年11月撮影(2024年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

Mariko Sakaguchi

[東京 29日 ロイター] - 29日の東京円債市場で国債先物中心限月6月限は前営業日比38銭安の143円12銭と続落して取引を終えた。新発10年国債利回り(長期金利)は同4.0bp上昇の1.075%と、2011年12月以来、約12年半ぶりの高水準。前日の米金利上昇や日銀による国債買い入れ減額への警戒感を背景に、債券の売り圧力が強まった。

国債先物は朝方から売りが先行。前日の米長期金利が4.54%付近と5月3日以来の水準まで上昇した流れを引き継ぎ、弱含んで始まった。その後、現物市場で長期・超長期ゾーンを中心に金利上昇圧力が強まったことが波及し、国債先物は下げ幅を拡大した。

29日午前の日銀の安達誠司審議委員による熊本県金融経済懇談会でのあいさつについて、「従来の日銀のスタンスと変わりはない」とりそなホールディングスのエコノミスト、佐藤芳郎氏は指摘する。ただ、市場では国債買い入れ減額観測が強まる中、「『国債買い入れは、債券市場の需給・機能度・流動性の状況を総合的に勘案しつつ段階的に減額していくこと望ましい』との発言を受けて、改めて国債買い入れの減額が現実的に視野に入っていると受け止められたのではないか」(佐藤氏)という。

後場に入っても、先物は軟調に推移。時間外取引で米長期金利が小幅に上昇したことも重しとなり、現物市場では新発債利回りがじりじりと上昇した。

安達日銀審議委員は同日午後の記者会見で「国債買い入れの1回減額、政策意図持って行ったものではない」、「 国債買い入れの減額が先にありきで長期金利が高騰すれば本末転倒」、「国債買い入れは予見性を持って減額していくのはまだ早いのではないか」などと述べた。

市場では「(国債買い入れの減額については)引き続き予見できない状況が続きやすく、投資家が目線を構築しにくい状況。6月の日銀決定会合までは不安定な地合いとなりやすい」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券のシニア債券ストラテジスト、大塚崇広氏)との声が聞かれた。

現物市場で新発国債利回りは総じて上昇。2年債は同3.0bp上昇の0.375%、5年債は同4.0bp上昇の0.630%といずれも09年以来の高水準。20年債は同3.0bp上昇の1.885%、30年債は同3.5bp上昇の2.220%と11年以来の高水準。40年債は同3.5bp上昇の2.365%。

短期金融市場で無担保コール翌日物の加重平均レートは、前営業日(0.077%)から横ばい圏の見通し。「出し手や取り手のバランスに変化はなく、レートは高止まりが続きそうだ」(国内金融機関)の声が聞かれた。

大阪取引所のTONA3カ月金利先物の6月限(最終取引月は24年9月)は同0.0050低下の99.8550。

TRADEWEB

OFFER BID 前日比 時間

2年 0.369 0.379 0.029 15:36

5年 0.626 0.634 0.039 15:31

10年 1.066 1.081 0.008 15:37

20年 1.881 1.89 0.031 15:37

30年 2.214 2.225 0.039 15:36

40年 2.359 2.372 0.038 15:36

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米、台湾への武器売却承認 ハイマースなど過去最大の

ビジネス

今回会合での日銀利上げの可能性、高いと考えている=

ワールド

中国、「ベネズエラへの一方的圧力に反対」 外相が電

ワールド

中国、海南島で自由貿易実験開始 中堅国並み1130
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 5
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 6
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 9
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 10
    【銘柄】「日の丸造船」復権へ...国策で関連銘柄が軒…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 5
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 6
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 10
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中