ニュース速報

ビジネス

多くの組合で満額回答、「異例」の展開=金属労協議長

2023年03月15日(水)18時05分

[東京 15日 ロイター] - 自動車や電機の労働組合が加盟する金属労協の金子晃浩議長は15日、2023年の春季労使交渉(春闘)の集中回答の結果を受けて「これまでになく異例」との見解を示した。

妥結した43組合の回答額平均は8407円で、要求額平均の8280円を上回り、うち約85%で満額回答となった。妥結賃金の平均額は比較可能なデータが存在する2014年以降最も高い水準になった。

物価高への対応や人材確保を背景に例年にない早期の妥結も相次いだ。金子議長は「賃上げを企業内だけでなく、社会全体に波及させていくべきとの認識が経営層に浸透していた」と話した。

パナソニックホールディングス、日立製作所、東芝、NEC、など電機連合の統一交渉を行っていた大手12社の労組がいずれも満額回答となった。この要求方式になった1998年以来、12社満額は初めて。要求額はベースアップ月額7000円で、おおむね4―5%の賃上げとなる。

一方で、ものづくり産業労働組合(JAM)の安河内賢弘会長は、全体的には歴史的な回答が出たとしたものの、一部で低額の回答となった単組もあるとし、「これまでと次元の異なる春闘だということを理解していない」と企業側を批判した。

賃上げの原資となる価格転嫁について、企業の中には労務費の上昇分を認めてもらえないといった声も強くあるとし、今後も賃上げと値上げの両面を強化していく姿勢を示した。

大手企業で満額回答が相次ぐ中、今後は、これから本格化する中小や中堅企業への波及が焦点となる。金属労協は、ベアで前年比2倍の月6000円以上を求める方針を掲げていた。ベア要求は10年連続で、15年以来8年ぶりの高い水準。

金属労協は自動車総連、電機連合、基幹労連、JAM、全電線の5つの産業別労組で構成し、組合員数は約200万人に上る。トヨタ自動車やホンダは2月下旬に労働組合要求に満額回答していた。

ロイター
Copyright (C) 2023 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

G7外相、ロシア凍結資産活用へ検討継続 ウクライナ

ビジネス

日銀4月会合、物価見通し引き上げへ 政策金利は据え

ワールド

アラスカでの石油・ガス開発、バイデン政権が制限 地

ビジネス

米国株から資金流出、過去2週間は22年末以来最大=
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離れ」外貨準備のうち、金が約4%を占める

  • 3

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の衝撃...米女優の過激衣装に「冗談でもあり得ない」と怒りの声

  • 4

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 5

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 6

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 9

    「イスラエルに300発撃って戦果はほぼゼロ」をイラン…

  • 10

    日本の護衛艦「かが」空母化は「本来の役割を変える…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体は

  • 4

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 5

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 9

    帰宅した女性が目撃したのは、ヘビが「愛猫」の首を…

  • 10

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中