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賃金動向に不確実性、手を緩めず緩和続ける必要=雨宮日銀副総裁
日銀の雨宮正佳副総裁は28日、岩手県金融経済懇談会であいさつし、今月取りまとめた「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)では2%の物価目標を持続的・安定的に実現できる見通しにはなっておらず、先行きの賃金動向にも不確実性が高いとして「手を緩めることなく、金融緩和を継続する必要がある」と述べた。資料写真、2019年7月、ロイターのイベントで(2022年 ロイター/Issei Kato)
[東京 28日 ロイター] - 日銀の雨宮正佳副総裁は28日、岩手県金融経済懇談会であいさつし、今月取りまとめた「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)では2%の物価目標を持続的・安定的に実現できる見通しにはなっておらず、先行きの賃金動向にも不確実性が高いとして「手を緩めることなく、金融緩和を継続する必要がある」と述べた。
雨宮副総裁は、個人消費が持続的に拡大していくには物価上昇率を上回る名目賃金の上昇が必要だと述べた。その上で、今年度は高水準の企業収益を背景に、製造業中心に夏季賞与の増加が見込まれるなど、賃金は上昇すると見込んでいるが、賃金上昇率は「消費者物価の上昇率を上回るとは想定していない」と話した。
一方、来年度以降は、労働需給が引き締まっていくもとで「労使間の賃金交渉において、物価上昇率の高まりも勘案されると予想されることから、ベースアップも含めた賃金のさらなる上昇が期待できる」と指摘。インフレ率低下も相まって、賃金上昇率は消費者物価の上昇率を上回っていくとの見通しを示した。
雨宮副総裁は、今後とも金融緩和で経済活動をしっかりとサポートし「賃金上昇を伴う形で物価目標を持続的・安定的に実現することを目指していく」と語った。
日銀が21日に公表した展望リポートでは、22年度の物価上昇率見通しは前年度比プラス2.3%となった。ただ、雨宮副総裁は来年年明け以降は「原油等の資源価格がこの先も上がり続けるという仮定を置かなければ、エネルギー価格の押し上げ寄与は減衰し、さらにコスト転嫁の動きも一巡していく」と述べた。さらに、振れの大きい生鮮食品・エネルギーを除く消費者物価指数の見通しでは24年度でも1%台半ばの上昇率にとどまるとした。
(和田崇彦 編集:内田慎一)