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指し値オペはラストリゾート、しばしばやるつもりない=日銀総裁
日銀の黒田東彦総裁は15日、金融緩和からの出口に向かう局面では日銀当座預金への付利引き上げで支払金利が増え、保有国債の利回りと逆転する「逆ザヤ」になる可能性があることを十分認識していると述べた。写真は、2020年1月21日に日銀本店で行われた会見での黒田総裁。(2022年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)
[東京 15日 ロイター] - 日銀の黒田東彦総裁は15日、金利の上昇を抑制する指し値オペは「ラストリゾート」(最後の手段)で、しばしばやるつもりはないと明言した。金融機関や市場機能にも配慮して金融市場調節を行っていくと述べた。一方、金融緩和からの出口の局面では日銀当座預金への付利引き上げで保有国債の利回りと逆転する「逆ザヤ」の可能性があるものの、出口戦略の具体的な議論は2%の物価目標が近づいてきたときに行わないと「かえってミスリードになる」と話した。
衆院財務金融委員会で野田佳彦委員(立憲民主党・無所属)の質問に答えた。
日銀は14日、10年国債を0.25%で買い入れる指し値オペを実施した。応札はなかったものの、黒田総裁は10年金利が0.22%程度まで低下したことで「適切な効果を持った」と評価した。
日銀は10年金利が許容変動幅の上限0.25%を上回りそうな勢いを見せたことで指し値オペを行った。黒田総裁は金利上昇が「海外の金利上昇、その他の要因に過度に影響された」とみて実施を決めたと説明した。
その上で、指し値オペは「一定の金利を示して、無制限に国債を買う姿勢を示すことでそれ以上の金利の上昇を防ぐ意味でかなり強力な手段だ」と指摘。日ごろの金融市場調節は「経済・物価にプラスの影響を与えつつ、金融機関や国債市場の機能度に過度に負担を掛けないようにバランスを取ってやっている」と話した。
<出口戦略、FRBの運営「十分参考になる」>
黒田総裁は出口戦略について、「抽象的・理論的」な筋道としては「過去の例、欧米の中央銀行を見てもわかるように拡大したバランスシートをどのように調整していくか、政策金利をどのように引き上げていくか、その順序とテンポの組み合わせということに尽きる」と述べた。米連邦準備理事会(FRB)の足元の政策運営は「十分参考になる」と指摘した。
ただ、具体的な議論は時期尚早との見方を示した。日本の物価上昇率は0.5%で「当面、金融緩和を続けるのが適切だ」と強調した。
ウクライナ情勢の緊迫化について、黒田総裁は「原油価格などの資源価格が暴騰すると、日本経済にとっても好ましくない影響を与えうる可能性がある」と述べ、地政学リスクを十分注視していきたいとした。
円安の輸入物価への影響については「円安は輸入物価の上昇要因になりうるが、最近の輸入物価の上昇に対する為替円安の影響はさほど大きなものではない」と述べた。
(和田崇彦)