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岸田首相が賃上げ支援策、業績回復企業には「3%超」期待

2021年11月26日(金)15時34分

岸田文雄政権の看板経済政策を担う「新しい資本主義実現会議」(議長:岸田首相)の第3回会合が26日開催され、日本の労働分配率の現状と課題を議論した。日本企業に対して賃上げを促すための論点整理が行われた。写真は首相官邸で10日撮影(2021年 ロイター)

[東京 26日 ロイター] - 岸田文雄政権の看板経済政策を担う「新しい資本主義実現会議」(議長:岸田首相)の第3回会合が26日開催され、日本企業に対して賃上げを促すための論点整理が行われた。岸田首相は会議で「来年の春闘で業績がコロナ前の水準を回復した企業について、新しい資本主義の始動にふさわしい3%を超える賃上げを期待する」と表明した。中小企業の賃上げ支援策や、保育士・看護職員などの賃上げ、非正規雇用者の転職支援などで4000億円規模の施策などをパッケージで示した。

<非正規の再就職支援など、3年で4000億円>

岸田首相は「来春の労使交渉では自社の支払い能力を踏まえ最大限の賃上げが期待される」と発言。春闘に先立ち、政府も保育士や幼稚園教諭、介護・障害福祉職員を対象に収入を継続的に3%程度引き上げるための措置を来年2月から前倒しで実施し、看護職員に対し段階的に収入を3%程度引き上げるため年末の予算編成過程で必要な措置を講じると説明した。

首相が9月の自民党総裁選以来重視する賃上げ税制についても「企業の税額控除率を抜本的に強化することを検討し、今年末の税制改正で決定する」。賃上げ支援税制の効果が出にくい赤字の中小企業の賃上げを支援するため、「ものづくり補助金や持続化補助金において、赤字でも賃上げした中小企業への補助率を引き上げる特別枠を設置する」とした。人的資本への投資を強化するため、3年間で4000億円規模のパッケージを創設し、非正規雇用者の再就職などを支援し、そのためのアイデアを一般人から募集する。

このほか、中小企業の賃上げ環境を整備するため、下請けいじめを監視する下請けGメンを倍増する。

会議では、過去20年間、国内の春闘の賃上げ率は1-2%程度で推移しており、2019年は2.07%、20年は1.9%、21年は1.78%(いずれも連合集計)と低下傾向にあることを問題視した。

過去20年間、大企業の経常利益は91.1%伸びたが、その間、現預金は85.1%、内部留保は175.2%膨らんだ。一方で、人件費は0.4%減、設備投資は5.3%減と縮小した。

日本の労働分配率は過去20年間、緩やかな減少傾向にあり、中小企業より大企業が小さく、減少率も大きくなっている。

売上高営業利益率でみた企業業績は、情報通信や製造業、建設業などはことし4-6月の業績がコロナ禍前の19年4-6月期を上回る水準に回復している一方、宿泊、飲食サービスなどはマイナスのままとなっている。

過去20年間の日本の1人当たり実質賃金の伸び率は1.05倍にとどまり、英国の1.48倍、米国の1.41倍などと比べ低いことも議論された。

ロイター
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