ニュース速報

ビジネス

アングル:米ハイテク株軟化、押し目買いの機会かさらなる調整の兆しか

2021年03月09日(火)06時59分

 3月5日、足元の米ハイテク株軟化は押し目買いの機会か、それともさらなる調整の兆しなのか、投資家の論争が続いている。ニューヨークのマンハッタンで2020年3月撮影(2021年 ロイター/Carlo Allegri)

[ニューヨーク 5日 ロイター] - 足元の米ハイテク株軟化は押し目買いの機会か、それともさらなる調整の兆しなのか、投資家の論争が続いている。

ナスダック総合は2月12日に付けた終値ベースの過去最高値からこれまでの下落率が8.3%と、S&P総合500種の3倍強に達した。人気を集める成長株の下げはもっときつく、電気自動車(EV)のテスラは27%、オンラインフィットネスのペロトンは32%下落した。

アップルやアマゾン・ドット・コムといった銘柄が値下がりした場面ですかざす買いを入れる方法は、過去10年間ずっと成功し続けてきた戦略の1つ。この間、大型ハイテク株と成長株が米国株をけん引してきたからだ。既に押し目買いの気配は見られ、5日のナスダック総合は急落後に切り返し、1.6%高で取引を終えている。

ただ一部の市場参加者は、現在のハイテク株の下げ局面が以前より長引くのではないかと懸念する。その背景には、米経済が力強く回復し、「巣ごもり」関連銘柄から、全面的な経済活動再開の恩恵を受けそうな銘柄への資金シフトが加速するとの見方がある。そうした循環物色の勢いをさらに強めているのが長期金利の高騰で、5日には米10年国債利回りが一時1.625%と、1年余りぶりの水準に跳ね上がった。

ネッド・デービス・リサーチのチーフ米国ストラテジスト、エド・クリソルド氏は「米経済活動が再開するとともに、ハイテク以外のセクターの利益が劇的に伸びようとしている」と述べた。大型ハイテク株と成長株の増益率はそれに及びそうにはないという。

また利回り上昇は、バリュエーションが膨らんでいるハイテク株と成長株にとってより重圧となりかねない。これらの銘柄の長期的なキャッシュフローの価値が損なわれる恐れがあるからだ。

実際、今の利回り高騰が始まった2月半ば以降、S&P総合500種の情報技術セクターは7%、ラッセル1000成長株指数は7.7%それぞれ下がった一方、景気回復がプラスに働く銀行などを含むラッセル100バリュー株指数は1.8%上昇した。

チェース・インベストメント・カウンセルのピーター・タズ社長は、ここ数週間でハイテク株保有高を圧縮し、アップルやクアルコムといった銘柄の一部を売却したと明かした。その理由としてバリュエーションを巡る不安や、市場が他のセクターに買いの対象を移している証拠がある点を挙げている。

タズ氏は「ハイテク株が他の多くのセクターほど値動きが良くないのは明確だ」と話す。

確かに米経済の持ち直しは、低迷してきたセクターの業績を強力に押し上げる公算が大きく、ハイテク株の予想利益が色あせてしまう面もある。

リフィニティブIBESによると、今年の金融、素材、工業の増益率見通しはそれぞれ23%、34%、72%だが、ハイテク株は15%にとどまる。同時にハイテク株のバリュエーションはなお歴史的高水準で、リフィニティブ・データストリームが示す予想利益に基づく株価収益率(PER)は26.6倍と、過去平均の約21倍を上回っている。

それでも投資家の間では、ハイテク株の収益基盤は強固で、景気回復に伴う全般的な業績回復が一服した後でもしっかりした増益基調を保てるとして、今の下げ局面は押し目買いの好機になり得るとの声も聞かれる。

ハイテク株のバリュエーションが跳ね上がったとはいえ、20年前のドット・コム・バブル時代に比べるとまだ随分と低い。この時、ナスダック総合は1年足らずで50%を超える下落を記録している。

シノバス・トラストのシニア・ポートフォリオマネジャー、ダニエル・モルガン氏は「ハイテクセクターの健全性は当時をはるかに上回っている。私は引き続き楽観的で、ファンダメンタルズはしっかりしているとの思いは変わらない。2000年夏のような大幅安は想定していない」と主張した。

(Lewis Krauskopf記者)

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

伊ウニクレディト、独コメルツ銀の30%超取得へ公開

ワールド

UAEフジャイラ港、原油積み出し停止 ドローン攻撃

ワールド

イスラエル軍、レバノン南部で「限定的」地上作戦 ヒ

ワールド

米中、トランプ氏訪中巡り協議 中国外務省
MAGAZINE
特集:教養としてのミュージカル入門
特集:教養としてのミュージカル入門
2026年3月17日号(3/10発売)

社会と時代を鮮烈に描き出すミュージカル。意外にポリティカルなエンタメの「魔力」を学ぶ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目のやり場に困る」衣装...「これはオシャレなの?」
  • 3
    「筋肉はモッツァレラと同じ」...なぜウォーミングアップは「2セット」でいいのか?
  • 4
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 5
    幼い子供たちの「おぞましい変化」を克明に記録...「…
  • 6
    機内で「人生最悪」の経験をした女性客...後ろの客の…
  • 7
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」…
  • 8
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 9
    ぜんぜん身体を隠せてない! 米セレブ、「細いロープ…
  • 10
    50代から急増!? 「老け込む人」に共通する体の異変【…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 5
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 6
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 7
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 8
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 9
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目の…
  • 10
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 5
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 6
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 9
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 10
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中