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欧米の大手金融機関、新型コロナ対策を強化 隔離措置や在宅勤務

2020年03月11日(水)08時43分

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、欧米の大手金融機関が新型コロナウイルス対策を強化している。ロンドンで2018年7月撮影(2020年 ロイター/Toby Melville)

[フランクフルト/マドリード/ロンドン 10日 ロイター] - 欧米の大手金融機関が新型コロナウイルス対策を強化している。

英銀大手バークレイズと米資産運用大手ブラックロックは、ニューヨークで従業員1人が新型ウイルスに感染したことを明らかにした。

金融機関は(1)感染者に接触したスタッフに対する14日間の自主隔離措置(2)在宅勤務や別の拠点での勤務など業務の分割(3)オフィスの消毒作業──などを進めている。

バークレイズは10日、ニューヨーク市ミッドタウン・マンハッタンのトレーディングフロアで働く従業員1人が新型ウイルスに陽性反応を示したことを明らかにし、感染者と接触したスタッフに対し自主隔離を要請した。ロイターが入手した社内文書で明らかになった。

米金融大手モルガン・スタンレーもニューヨーク州パーチェスのオフィスで働く従業員1人が陽性反応を示したと表明。

ブラックロックでも、ニューヨークの東52番街にあるオフィスに勤務する従業員1人が新型ウイルスに感染した。同社は消毒作業を行い、この従業員に接触したスタッフに14日間の在宅勤務を命じた。

ブラックロックは事業を継続するためのプランを実行に移している。感染の拡大を防ぐため、在宅勤務とオフィス勤務を交互に行うといった対策を導入している。

関係筋によると、シティグループは11日から北米の従業員全体を2つのグループに分け、オフィス勤務とオフィス外勤務を1週間ごとに交代させる体制をとる。

アナリストは、こうした一連の対策について、市場の円滑な機能を脅かすリスクがあると指摘。

JPモルガンの債券ストラテジストは10日付のリポートで「一部の大手ディーラーがスタッフの分離や大規模な自宅勤務を発表している。市場はほぼ間違いなく2001年以降で最大のオペレーションリスクに見舞われるだろう」と述べた。

<欧州大手銀も新型コロナ対策拡大>

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、欧州銀行大手にも、緊急措置が広がっている。一方、欧州連合(EU)の銀行監督当局は域内銀行の事業継続性の確保に焦点を当てているとし、必要な対策について連絡を取り合っているとした。

ドイツ銀行はトレーディング業務の一部をフランクフルトの複数の拠点に移管したほか、スペインのBBVAはマドリードの本社でビル一棟を閉鎖。

プライベートエクイティ(PE)企業KKRは9日遅く、ロンドン勤務の従業員に新型ウイルス感染が確認され、市内のオフィスを一時的に閉鎖したと発表。

英資産運用会社スタンダード・ライフ・アバディーンは10日、緊急対策の一環として、英米の運用チームを複数のグループに分け、個別に業務に当たらせると発表した。

英銀大手ロイズ・バンキング・グループ傘下の住宅金融ハリファクスは従業員の1人に感染が確認されたことを受け、1000人が勤務する北アイルランドのコールセンターを閉鎖した。

英金融大手HSBCは先週、ロンドン勤務の従業員1人の感染が確認されたことを受け、同じ部署で働く約100人の従業員を在宅勤務、もしくは自宅待機とした。

また英銀大手ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)は10日、新型コロナの影響を受けた個人に対し、住宅ローンなどの返済を最大3カ月延期する措置を発表。

ロイズとバークレイズも顧客企業向けの資金支援策を発表した。

EUの銀行監督機関である欧州銀行監督機構(EBA)の広報担当は10日、「目下の焦点は銀行の緊急時対応策と事業の継続性を確保する能力」とし、「新型ウイルスの動向と必要な措置について話し合うためにメンバーと緊密に連絡を取り合っている」とした。

*内容を追加して再送します。

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