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中国人民銀、最優遇貸出金利引き下げ 景気支援へ

2020年02月20日(木)15時02分

2月20日、中国人民銀行(中央銀行)は、銀行の貸出金利の指標となる最優遇貸出金利(ローンプライムレート、LPR)を予想通り引き下げた。北京の人民銀前で2018年9月撮影(2020年 ロイター/Jason Lee)

[上海 20日 ロイター] - 中国人民銀行(中央銀行)は20日、銀行の貸出金利の指標となる最優遇貸出金利(ローンプライムレート、LPR)を予想通り引き下げた。新型コロナウイルスの感染が広がる中、企業の資金調達コストを引き下げ、経済を支援する狙いがある。

1年物LPRは4.05%に設定され、前月の4.15%から10ベーシスポイント(bp)引き下げた。5年物は4.75%で、前月の4.80%から5bp引き下げた。

人民銀は17日にも1年物中期貸出制度(MLF)を通じて金融機関に2000億元を供給、金利は10bp引き下げ3.15%とした。

スタンダードチャータード銀行のシンガポール在勤マクロストラテジスト、マヤンク・ミシュラ氏は、LPRの引き下げは予想通りだが、新型ウイルスの経済的影響を打ち消すには不十分かもしれないと指摘。

「中国当局は、今後の金融緩和について、実施するが慎重なペースになるとのメッセージを送っている。積極的な緩和への期待を促したくないようだ」と述べた。

そのうえで、人民銀が追加緩和措置として、預金準備率を100bp引き下げ、MLF金利を10bp引き下げると予想した。

LPR引き下げを受け、人民元は追加緩和観測などから対ドルで約2カ月ぶり安値を付けた。

BNPパリバのシニア中国エコノミスト、ジャクリーン・ロン氏は、銀行間金利がここ1か月ですでに急低下していることから、より大幅な1年物LPR引き下げを予想していたと話した。

一部のアナリストは、5年物LPRの引き下げが小幅にとどまったことについて、当局は不動産バブルによって長期的に経済が損なわれるのを回避しようとしている可能性があると指摘した。

<小規模企業の支援には不十分>

中国の保健当局がこの日発表した新型ウイルスの発生源とされる湖北省での新たな感染者数は前日から大幅に減少した。ただ、これまでの死者数は2000人を突破しており、公衆衛生の緊急事態であることに変わりはない。

ロイター調査によると、中国経済は、新型コロナウイルスの感染拡大により、第1・四半期の成長率が前年比で4.5%に鈍化し、金融危機以降で最も低い水準になる見通し。

人民銀は毎月、18の銀行の報告値に基づきLPRを算出している。人民銀は昨年8月、LPRの算出メカニズムを刷新し、MLF金利と緩く連動させた。

キャピタル・エコノミクスのシニア中国エコノミスト、ジュリアン・エバンズ・プリチャード氏は、当局が追加緩和を行っても小規模企業にはわずかな支援にしかならないと指摘した。

「向こう数週間に追加緩和が行われる可能性が高いが、それだけでは、新型ウイルスの打撃を受ける小規模企業の状況は変わらない」とし、「経済活動が通常に戻らない限り、小規模企業の3分の1で向こう2週間以内に資金が尽きる可能性が調査で示されている」と述べた。

ロイター
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