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ブラジル経済、民間主導に転換 所得・雇用の拡大には時間
11月12日、ブラジルの民間セクターが政府部門に代わってブラジル経済の成長をけん引しつつあるが、エコノミストによると雇用や所得の拡大にはまだ時間がかかりそうだ。写真は2018年8月、サンパウロの求職者の行列(2019年 ロイター/Paulo Whitaker)
[ブラジリア 12日 ロイター] - ブラジルの民間セクターが政府部門に代わってブラジル経済の成長をけん引しつつあるが、エコノミストによると雇用や所得の拡大にはまだ時間がかかりそうだ。
ブラジル経済省の経済政策局がまとめたデータによると、民間セクターの第2・四半期国内総生産(GDP)伸び率は年率2.22%、政府部門は同マイナス1.56%だった。
ブラジルの民間セクターは現在、経済全体の80%弱を占める。
政府部門GDPが落ち込んだのを受け、民間セクターへの成長シフトがこのところ加速してきた。経済政策局の担当者は、民間セクターにおける投資と消費の伸びは金利低下の当然の結果だと説明した。
ブラジル中銀は先月、政策金利を50ベーシスポイント(bp)引き下げ、過去最低の5.00%とすることを決定。さらに、次の会合で50bpの追加利下げを行うことを示唆している。
同時に、政府は公的支出の抑制に全力で取り組んでいる。
ゲジス経済相は8日、来年の民間セクターのGDP伸び率は3%となる一方、公的セクターの成長率はほぼゼロになるとの見通しを示した。
多くのエコノミストは、この見通しが実現する可能性はあるとしつつも、民間セクター主導経済への移行による実質的なメリットはすぐには感じられないとみる。
ARXインベスティメントスのチーフエコノミスト、Solange Srour氏は「(シフトのメリットとして)まず、消費と投資が増加する。だが、労働市場にはかなりのスラック(需給の緩み)があるため、雇用や所得が拡大するのはその後だ」と語った。
ブラジル中銀は、公的部門から民間部門へのシフトについて取り上げられることが増えており、先月の金融政策委員会の議事要旨にも登場した。
中銀のカンポス・ネト総裁は、長期債利回りと金利の低下は、民間セクターによる長期プロジェクトの資金調達を後押しするため、利下げと同様に重要だとの見解を示している。
一方で、別の見方もある。バンコ・ファトルのチーフエコノミスト、ジョゼ・フランシスコ・ゴンカルベス氏は、雇用データが改善するまで利下げの真のプラス効果は感じられないと指摘。雇用データの改善は早くても来年後半になるとした。
同氏はまた、雇用は投資によってしか増えないが、政府支出が歴史的低水準にある現状では民間投資に頼るしかなく、悪循環に陥っていると述べた。