ニュース速報

ビジネス

情報BOX:米税制改革、実現で大きな恩恵が見込まれる米国株セクター

2017年12月04日(月)15時49分

 12月1日、トランプ米大統領が提唱する税制改革の実現可能性が高まる中、企業の利益が押し上げられることへの期待が強まっており、米国株式市場全体が盛り上がっている。写真はニューヨーク証券取引所で撮影(2017年 ロイター/Brendan McDermid)

[ニューヨーク 1日 ロイター] - トランプ米大統領が提唱する税制改革の実現可能性が高まる中、企業の利益が押し上げられることへの期待が強まっており、米国株式市場全体が盛り上がっている。

UBSのストラテジストは、法人税率が25%に下がればS&P総合500種<.SPX>企業全体の利益は6.5%、税率20%なら9.5%押し上げられるとみている。

ただ、銘柄によって受ける恩恵に差があるとみられている。

アムンディ・パイオニア・アセット・マネジメント(ボストン)のポートフォリオマネジャー、ジョン・ケアリー氏は「フルの税率に近い税金を支払い、主に国内事業を手掛ける企業に有利となりそうだ」と語る。

投資家は既にこうした「税金敏感」分野の一部に資金を振り向けたもようだ。一部の市場ウォッチャーは同じセクターでも企業によって実効税率が大きく異なるとして、どの業界が勝ち組とは一概には言えないとしている。

とはいえ、ストラテジストは法人税減税を中心に恩恵を受けるとみられる企業が集中する業界を挙げている。

<銀行>

ウェルズ・ファーゴの分析によると、S&P総合500種の主要セクターのうち、金融が最も高い実効税率(27.5%)となっている。

キーフ・ブルエット・アンド・ウッズの株式調査部門マネジングディレクターを務めるブライアン・クロック氏は、減税で銀行利益の中央値(メディアン)は2018年に16%、19年に18%、それぞれ押し上げられると予想。「銀行は株主還元を実施するだろう」と述べた。

大手地銀の中では、ザイオンズ・バンコープ、M&Tバンク・コープ、コメリカが最も大きな恩恵を受けそうだという。

<輸送>

UBSによると、法人税減税で利益の大幅増が見込まれる主要業界の中に輸送がある。

モーニングスターのアナリスト、キース・スクーンメーカー氏によると、ユニオン・パシフィック・コープやCSXコープといった鉄道会社は法定税率がほぼそのまま適用されている。資本支出の経費を徐々にではなく1年間で計上することを認める条項により課税所得を減らすことができそうだという。

複数のアナリストは航空会社が減税の恩恵を受けると指摘。UBSによると、アラスカ航空グループとサウスウェスト航空が勝ち組となる可能性がある。

<ヘルスケアサービス>

米国内で事業を展開するヘルスケアサービス企業は、海外で製品を販売する製薬企業や医療機器会社よりも減税の恩恵を受けそうだ。

バーンスタインのアナリストは最近のノートで「ヘルスケアサービスは最も税負担の重い業界の1つであり、法人税減税で大きな恩恵を受けるだろう」と指摘した。

アンセムといった医療保険企業、アメリソースバーゲンといった医薬品卸売企業、HCAヘルスケアといった病院経営会社が含まれるS&P500ヘルスケアプロバイダー・サービス株指数<.SPLRCHCPS>は今週(1日までの週)に5.4%上昇した。

ジェフリーズのアナリストによると、その他に大きな恩恵を受ける可能性があるとみられる企業には、オールモスト・ファミリー、クエスト・ダイアグノスティクス、エクスプレス・スクリプツ・ホールディングが含まれている。

<小売り>

モーニングスターのシニア株式アナリスト、ブリジッド・ウェイシャー氏によると、小売業界で最も恩恵を受けるとみられるのは国内事業の比重が大きい百貨店だ。勝ち組に入る可能性がある銘柄としてメーシーズ、ノードストローム、コールズを挙げた。

また、「ヴィクトリアズ・シークレット」のオーナーであるLブランズ、アパレル小売大手ロス・ストアーズも有望だという。

<通信>

AT&T、ベライゾン・コミュニケーションズを含む通信会社も恩恵を受ける見通し。

バークレイズの通信株担当アナリスト、Amir Rozwadowski氏は「これらは国内に重点を置く企業であり、税制改革で恩恵を受けるとみられる」と語った。

今週(1日までの週)にAT&Tは4.9%、ベライゾンは9%、それぞれ値を上げた。

ロイター
Copyright (C) 2017 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

オマーン、国際金融センター設立計画を発表

ワールド

再送-米議会襲撃5年、トランプ氏が調査や報道批判 

ビジネス

新発30年債利回りが3.51%に上昇、過去最高水準

ワールド

豪CPI、11月は前月比横ばい 前年比は+3.4%
MAGAZINE
特集:AI兵士の新しい戦争
特集:AI兵士の新しい戦争
2026年1月13日号(1/ 6発売)

ヒューマノイド・ロボット「ファントムMK1」がアメリカの戦場と戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    日本も他人事じゃない? デジタル先進国デンマークが「手紙配達」をやめた理由
  • 4
    「見ないで!」お風呂に閉じこもる姉妹...警告を無視…
  • 5
    トランプがベネズエラで大幅に書き換えた「モンロー…
  • 6
    「悪夢だ...」バリ島のホテルのトイレで「まさかの事…
  • 7
    若者の17%が就職できない?...中国の最新統計が示し…
  • 8
    眠る筋力を覚醒させる技術「ブレーシング」とは?...…
  • 9
    砂漠化率77%...中国の「最新技術」はモンゴルの遊牧…
  • 10
    衛星画像で見る「消し炭」の軍事施設...ベネズエラで…
  • 1
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチン、その先は袋小路か
  • 2
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙」は抑止かそれとも無能?
  • 3
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 5
    眠る筋力を覚醒させる技術「ブレーシング」とは?...…
  • 6
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 7
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 8
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 9
    アメリカ、中国に台湾圧力停止を求める
  • 10
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 10
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中