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焦点:日銀、原油安とインフレ期待で議論へ 物価2%に不透明感

12月17日、日銀は18日までの2日間にわたって開催されている金融政策決定会合で、原油価格の下落がインフレ期待に与える影響などについて議論を深め、慎重に点検しているもようであることが分かった。写真は10月30日、東京の日銀本店前で(2015年 ロイター/Thomas Peter)
[東京 17日 ロイター] - 日銀は18日までの2日間にわたって開催されている金融政策決定会合で、原油価格の下落がインフレ期待に与える影響などについて議論を深め、慎重に点検しているもようだ。足元の原油安進行を受け、インフレ期待の後退を示す指標も目立ち始めており、物価2%目標の早期達成に不透明感が広がっている。
日銀内では、前回11月の決定会合以降の経済指標から、景気の緩やかな回復が確認されたとの見方が多い。強めの計画に比べて出遅れが懸念された設備投資は、7-9月期の法人企業統計が前年比11.2%増と堅調で、12月調査の日銀短観でも高水準の計画が維持された。
新興国経済の減速などを背景に、もたついていた輸出も回復基調。日銀によると、11月の実質輸出は前月比プラス1.6%と3カ月連続増となり、輸出数量は着実に増えている。
米連邦準備理事会(FRB)は16日、約10年ぶりとなる利上げに踏み切ったが、市場は冷静に反応。不透明感の払しょくを背景に17日の東京市場では株高・円安が進行した。
一方、原油価格下落に下げ止まりの兆しがみられず、日銀が重視する「物価の基調」の先行きに不透明感が強まっている。
日銀では、資源輸入国の日本にとって、原油安は日本経済にプラスとの立場を維持している。
ただ、足元でゼロ%程度の推移を続けている消費者物価(生鮮食品除く、コアCPI)の低迷が長期化する中、企業や家計のインフレ期待が後退することに対しては、警戒を強める声もある。
15日公表の12月調査日銀短観における「企業の物価見通し」で、企業が想定する消費者物価の前年比上昇率は、前回9月調査に比べてすべての期間でプラス幅が縮小。企業のインフレ期待の低下傾向が続いている。
物価連動国債市場から推計するブレーク・イーブン・インフレ率や、民間エコノミストを対象にしたアンケート調査なども低下してきており、金融政策決定会合では、原油安がインフレ期待に及ぼす影響も議論されていると見られる。
(伊藤純夫 竹本能文 編集:田巻一彦)