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米雇用統計弱くドル/円上値重い、株高なら下支えも=今週の外為市場

2015年10月05日(月)09時04分

 10月5日、今週の外為市場では、先週末の米雇用統計が弱い結果となったことを受け、上値の重い展開が想定される。2014年8月撮影(2015年 ロイター/Siphiwe Sibeko)

[東京 5日 ロイター] - 今週の外為市場では、先週末の米雇用統計が弱い結果となったことを受け、上値の重い展開が想定される。早期利上げ観測の後退を好感して株価が堅調に推移するようならドル/円の下支えとなるほか、年内利上げへの思惑も依然残っており、ドル/円が下押しする局面では国内勢を中心に押し目買いが出やすいという。

日銀による追加緩和への思惑もくすぶっており、ドル/円の支援になりそうだ。

予想レンジはドル/円が118.50―121.50円、ユーロ/ドルが1.1050―1.1300ドル。

今週の金融市場では、市場予想より弱かった米雇用統計の消化が進む見通しだ。市場では「週明けの日経平均株価、連休明けの中国株価の動向を見極める必要がある」(外為どっとコム総研の調査部長、神田卓也氏)との指摘が出ている。

雇用統計の発表後にドルは、早期利上げ観測の後退を受けて主要通貨に対し下落した。ドル/円は一時118円台まで下押しされた。その後、米株価が上昇するのを眺め、ドル/円もNY時間の終盤にかけて120円付近に値を戻した。

目先のドル/円相場について、世界の株価が堅調なら下支えになる一方、「日米の金融政策の差がドル/円には重要なため、上値の重さも目立ってくる。上も下も堅く、ドル/円はレンジ感が強まりそうだ」(あおぞら銀行の市場商品部部長、諸我晃氏)との声が出ている。

8月後半以降に金融市場が乱調となる中で、ドル/円は118─122円のレンジで推移してきた。足元では119円台に下落すれば国内勢のドル買いが入りやすく、リスクオフが強まらない限り下押しは限定的とみられている。

株価が落ち着きを取り戻すなら、ドル/円の支えにもなり得る。ただ、値を戻しても利益確定売りが出やすく、上値も限られそうだ。

今週は8日に米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(9月16─17日開催分)が発表される。新興国経済などに配慮して利上げ開始を見送ったFOMCの議事要旨となるが、その後にハト派で知られるイエレンFRB議長が24日の講演でタカ派的と受け止められる発言をしたこともあり、FOMCでの議論自体はタカ派的だった可能性もあるとして注目されていた。

ただ、雇用統計が市場の想定以上の大幅下振れとなっただけに「あくまで雇用統計以前の議論という位置づけになってしまい、市場の関心は薄れそうだ」(神田氏)という。このため、弱い雇用統計を受けた米連邦準備理事会(FRB)高官の発言への注目度が高まりそうだ。

一方、8日には20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が予定されている。米国が利上げに乗り出せば、これまで緩和マネーが流れ込んでいた新興国経済が不安定化しかねないと警戒されており、米利上げに対する新興国のスタンスを見極めるため、要人発言が注目される可能性もある。

米企業決算も順次発表を控えており、目配りが必要になる。ドル高や新興国景気減速の影響で業績が下振れるようならリスクオフ機運が高まりかねない。

ドル/円の日本サイドでは、日銀の金融政策決定会合が6─7日に開催される。今回の会合で追加緩和を打ち出すとの見方は大勢ではないが、「黒田総裁の政策運営は機先を制するスタイル。市場が織り込み切れていない今回の会合で追加緩和を打ち出す可能性もゼロではない」(国内金融機関)との見方も根強い。

このため、追加緩和がなく黒田総裁の会見での強気姿勢に変化がなければ、「いったん円高に振れる可能性がある」(外銀)との指摘もある。

(為替マーケットチーム)

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