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米2地区連銀総裁が追加利下げ不要と主張、FRB内に見解の相違
[ジャクソンホール(米ワイオミング州) 22日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)が来月の会合で追加利下げを決定するとの観測が大勢となっている中で、FRB当局者2人が22日、現時点で追加利下げの必要はないとの見方をした。別の当局者1人は先入観を持たないという考えを示し、世界的な景気減速への対応を巡りFRB内に見解の相違があることが浮き彫りになった。
カンザスシティー地区連銀のジョージ総裁とフィラデルフィア地区連銀のハーカー総裁は、現時点で米経済に追加の刺激策は必要ないとの見解を示した。
FRBは7月30─31日の連邦公開市場委員会(FOMC)で2008年以来の利下げを決定。決定は8対2で、ジョージ総裁はローゼングレン・ボストン地区連銀総裁と共に反対票を投じていた。
ジョージ総裁はブルームバーグTVのインタビューに対し「現在、金利はほぼ均衡水準にある。状況が弱含む、もしくは金利の変更が必要と見なされる上振れリスクが台頭しない限り、金利を現行水準に維持することに前向きだ」と述べた。
ハーカー総裁はCNBCテレビのインタビューで「中立(金利)の水準を特定するのは難しいが、それでもわれわれは現時点でほぼ中立地点にいると思われる。したがって当面は足元の水準にとどまり、今後の動向を見極めるべきだ」と語った。
一方、ダラス地区連銀のカプラン総裁はCNBCテレビとのインタビューで、個人消費は堅調に推移しているものの、貿易政策面で予想のつかない状況が生じる中、企業は一段と慎重になっていると指摘した。
「9月までの時間をすべて使って景気の動向を評価したい。追加措置を迫られることは避けたい」とした上で、「弱い状況が続くならば、何らかの調整を行うことに関し少なくとも先入観は持たないつもりだ」と語った。
3氏はワイオミング州ジャクソンホールで開かれている年次経済シンポジウムでメディアのインタビューに応じた。
この日の米債券市場では、2年債利回りが10年債利回りを一時上回り、景気後退(リセッション)入りの前兆とされる長短金利の逆転が再び発生した。
ジョージ総裁もハーカー総裁もこの日のそれぞれのインタビューの中で、利回り曲線の動向は注視しているとしながらも、現時点で景気後退入りを明確に示しているわけではないと指摘。ハーカー総裁は「数あるシグナルのうちの一つに過ぎない」と述べた。
カプラン総裁は、米国債利回りの状況はFRBの金融政策が3カ月前の自身の想定より「ややタイト」であることを示唆していると指摘した。
トランプ米大統領は、FRBが政策金利を高過ぎる水準に維持していると繰り返し批判してきた。19日には少なくとも100ベーシスポイント(bp)の利下げを実施する必要があるとの考えを示したほか、この日は追加利下げを実施すれば米経済成長は史上最高となる可能性があるとツイッターに投稿した。
FRBに圧力を掛けているのは大統領だけではない。市場ではFRBが9月17─18日の次回FOMCで追加利下げを決定するとの見方が大勢となっており、FRBが利下げを決定しなかった場合、金融市場は荒れる可能性がある。
FRBが前日に公表した7月のFOMCの議事要旨では、インフレ率が低過ぎるとの懸念を示した複数の参加者が50bpの利下げを望んでいたことが判明。同時に追加利下げを検討している印象を与えることは好ましくないとの認識で一致していたことも明らかになった。
*内容を追加します。