ニュース速報

米2地区連銀総裁が追加利下げ不要と主張、FRB内に見解の相違

2019年08月23日(金)07時01分

[ジャクソンホール(米ワイオミング州) 22日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)が来月の会合で追加利下げを決定するとの観測が大勢となっている中で、FRB当局者2人が22日、現時点で追加利下げの必要はないとの見方をした。別の当局者1人は先入観を持たないという考えを示し、世界的な景気減速への対応を巡りFRB内に見解の相違があることが浮き彫りになった。

カンザスシティー地区連銀のジョージ総裁とフィラデルフィア地区連銀のハーカー総裁は、現時点で米経済に追加の刺激策は必要ないとの見解を示した。

FRBは7月30─31日の連邦公開市場委員会(FOMC)で2008年以来の利下げを決定。決定は8対2で、ジョージ総裁はローゼングレン・ボストン地区連銀総裁と共に反対票を投じていた。

ジョージ総裁はブルームバーグTVのインタビューに対し「現在、金利はほぼ均衡水準にある。状況が弱含む、もしくは金利の変更が必要と見なされる上振れリスクが台頭しない限り、金利を現行水準に維持することに前向きだ」と述べた。

ハーカー総裁はCNBCテレビのインタビューで「中立(金利)の水準を特定するのは難しいが、それでもわれわれは現時点でほぼ中立地点にいると思われる。したがって当面は足元の水準にとどまり、今後の動向を見極めるべきだ」と語った。

一方、ダラス地区連銀のカプラン総裁はCNBCテレビとのインタビューで、個人消費は堅調に推移しているものの、貿易政策面で予想のつかない状況が生じる中、企業は一段と慎重になっていると指摘した。

「9月までの時間をすべて使って景気の動向を評価したい。追加措置を迫られることは避けたい」とした上で、「弱い状況が続くならば、何らかの調整を行うことに関し少なくとも先入観は持たないつもりだ」と語った。

3氏はワイオミング州ジャクソンホールで開かれている年次経済シンポジウムでメディアのインタビューに応じた。

この日の米債券市場では、2年債利回りが10年債利回りを一時上回り、景気後退(リセッション)入りの前兆とされる長短金利の逆転が再び発生した。

ジョージ総裁もハーカー総裁もこの日のそれぞれのインタビューの中で、利回り曲線の動向は注視しているとしながらも、現時点で景気後退入りを明確に示しているわけではないと指摘。ハーカー総裁は「数あるシグナルのうちの一つに過ぎない」と述べた。

カプラン総裁は、米国債利回りの状況はFRBの金融政策が3カ月前の自身の想定より「ややタイト」であることを示唆していると指摘した。

トランプ米大統領は、FRBが政策金利を高過ぎる水準に維持していると繰り返し批判してきた。19日には少なくとも100ベーシスポイント(bp)の利下げを実施する必要があるとの考えを示したほか、この日は追加利下げを実施すれば米経済成長は史上最高となる可能性があるとツイッターに投稿した。

FRBに圧力を掛けているのは大統領だけではない。市場ではFRBが9月17─18日の次回FOMCで追加利下げを決定するとの見方が大勢となっており、FRBが利下げを決定しなかった場合、金融市場は荒れる可能性がある。

FRBが前日に公表した7月のFOMCの議事要旨では、インフレ率が低過ぎるとの懸念を示した複数の参加者が50bpの利下げを望んでいたことが判明。同時に追加利下げを検討している印象を与えることは好ましくないとの認識で一致していたことも明らかになった。

*内容を追加します。

ロイター
Copyright (C) 2019 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

再送フーシ派がイスラエル攻撃、イエメンの親イラン武

ワールド

再送-UAEのアブダビで5人負傷、火災も発生 ミサ

ワールド

タイ新政権、来週発足へ アヌティン首相が表明 

ビジネス

中国の大手国有銀3行、25年の利益ほぼ横ばい 不動
MAGAZINE
特集:BTS再始動
特集:BTS再始動
2026年3月31日号(3/24発売)

3年9カ月の空白を経て完全体でカムバック。世界が注目する「BTS2.0」の幕開け

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    映画『8番出口』はアメリカでどう受け止められた?...「単なるホラー作品とは違う」「あの大作も顔負け」
  • 2
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度を決める重要な要素とは?
  • 3
    オランウータンに「15分間ロックオン」された女性のSNS動画が拡散、動物園で一体何が?
  • 4
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 5
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反…
  • 6
    中国最大の海運会社COSCOがペルシャ湾輸送を再開──緊…
  • 7
    ヒドラのように生き延びる...イランを支配する「革命…
  • 8
    ウィリアム皇太子が軍服姿で部隊訪問...「前線任務」…
  • 9
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が…
  • 10
    「酷すぎる...」ショッピングモールのゴミ箱で「まさ…
  • 1
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ海峡封鎖と資源価格高騰が業績を押し上げ
  • 2
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反対署名...「歓迎してない」の声広がる
  • 3
    レストラン店内で配膳ロボットが「制御不能」に...店員も「なすすべなし」の暴走モード
  • 4
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」…
  • 5
    中国の公衆衛生レベルはアメリカ並み...「ほぼ国民皆…
  • 6
    イランは空爆により核・ミサイル製造能力を「喪失」…
  • 7
    中国最大の海運会社COSCOがペルシャ湾輸送を再開──緊…
  • 8
    作者が「投げ出した」? 『チェンソーマン』の最終…
  • 9
    【クイズ】2年連続で「世界幸福度ランキング」で最下…
  • 10
    「カメラの目の前」で起きた爆発の瞬間...取材中の記…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 6
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 7
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 8
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中