ニュース速報

米7月小売売上高は0.7%増、予想上回る 景気後退懸念和らぐか

2019年08月16日(金)04時04分

[ワシントン 15日 ロイター] - 米商務省が15日発表した7月の小売売上高は前月比0.7%増と、市場予想の0.3%を上回る伸びとなった。幅広い品目で売り上げが増加した。統計を受け景気後退が迫っているとの懸念が和らぐ可能性もある。

6月の数字は当初発表の0.4%増から0.3%増へ改定された。7月の前年同月比は3.4%増だった。

自動車やガソリン、建材、食品サービスを除いたコア指数は前月比1.0%増だった。前月は0.7%増加していた。コア売上高は国内総生産(GDP)の消費支出に最も大きく連動するとされる。

7月の前月比の内訳は、ガソリンスタンドが1.8%増。ガソリンの値上がりを反映した。建材は0.2%増だった。衣料は0.8%増。オンライン小売りは2.8%増と、6カ月ぶりの大幅な伸びとなった。前月は1.9%増だった。インターネット通販大手アマゾン・ドット・コムの大型セール「プライムデー」が押し上げ要因だったとみられる。家具は0.3%増だった。外食は1.1%増。一方、自動車は0.6%減。前月は0.3%増加していた。運動・娯楽は1.1%減だった。

7月の小売売上高は、個人消費が第3・四半期初めに好調だったことを示唆する。ただ、個人消費は第2・四半期の好調なペース(年率4.3%増)に比べると鈍化するとみられる。失業率は50年近くぶりの低水準にあり、米経済の3分の2以上を占める個人消費を下支えしている。軟調な設備投資が示すように製造業は低迷しており、経済の打撃となっているが、個人消費がその影響を一部相殺している。

第2・四半期GDPは年率2.1%増と、第1・四半期の3.1%増から鈍化した。第3・四半期GDP予想は2.0%増を下回っている。

今回の小売売上高は、貿易摩擦や世界経済の鈍化に伴い米経済見通しが暗くなる中で米連邦準備理事会(FRB)が来月に追加利下げするとの見方を変える材料にはならないとみられる。金融市場はFRBが9月17─18日の会合で25ベーシスポイント(bp)利下げすることを完全に織り込んでいる。先月は、米中貿易摩擦や世界経済の鈍化に言及し、25bp利下げした。

米国債市場では前日、2007年以来初めて10年物の利回りが2年物を下回る長短金利逆転が起き、株式市場で急落した。長短金利差の逆転は景気後退への市場の警戒サインと見なされる。

小売統計が好調だったことを受け、来月の利下げ幅が50bpになるとの観測は後退する可能性がある。BMOキャピタル・マーケッツ(トロント)のシニアエコノミスト、ジェニファー・リー氏は「消費により経済が押し上げられ、一段と積極的な利下げを巡るFRBに対する圧力は和らいでいる」と指摘。ただ「貿易戦争そのものに加え、貿易戦争に伴うレトリックの高まりで一段の利下げが必要になる可能性がある」との見方も示した。

トランプ米大統領はツイッターで「米国は今や世界でも群を抜いて最強の経済大国になった」と投稿。「他の国々が低迷する中で、米国はますます力をつけるばかりだ。消費者はこれまでで最高の状態にあり、潤沢な資金を蓄えている」と述べた。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2019 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

エプスタイン文書、さらに100万件か 黒塗りで公開

ワールド

ウクライナ、GDPワラント債再編手続き完了 デフォ

ワールド

プーチン大統領、北朝鮮の金総書記に新年のメッセージ

ワールド

焦点:ロシア防衛企業の苦悩、経営者が赤の広場で焼身
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 2
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足度100%の作品も、アジア作品が大躍進
  • 3
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...どこでも魚を養殖できる岡山理科大学の好適環境水
  • 4
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者…
  • 5
    ジョンベネ・ラムジー殺害事件に新展開 父「これま…
  • 6
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 7
    ノルウェーの海岸で金属探知機が掘り当てた、1200年…
  • 8
    ゴキブリが大量発生、カニやロブスターが減少...観測…
  • 9
    「時代劇を頼む」と言われた...岡田准一が語る、侍た…
  • 10
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 1
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 4
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 5
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 6
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 7
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 8
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 9
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 10
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中