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独鉱工業生産、1月は予想外のマイナス 自動車が落ち込む
[ベルリン 11日 ロイター] - ドイツ経済省が発表した1月の鉱工業生産指数は前月比0.8%低下し、予想外のマイナスとなった。自動車生産の落ち込みが響いた。
市場予想は0.5%の上昇だった。
経済省が別に公表したデータによると、自動車生産は9.2%減少した。ストライキが発生したことや新型モデルへの切り替え時期に当たったことなどの特殊要因が理由としている。
独連邦統計庁が11日公表した1月の貿易収支は、輸出が前月比横ばいで予想(0.5%減)を上回った。輸入は1.5%増となり貿易黒字は185億ユーロへ縮小した。
経済指標がさえないことから第1・四半期の独経済は小幅な成長にとどまるとみられる。2四半期連続でマイナス成長に陥れば景気後退(リセッション)入りしたと定義されるが、独経済は昨年下半期に辛うじてリセッション入りを免れている。
世界的な景気減速のほか、トランプ米大統領が掲げる「米国第一主義」に起因する通商問題や英国の欧州連合(EU)離脱を巡る先行き不透明性などが、輸出依存度の高いドイツ経済を圧迫。こうした要因は欧州経済全体の圧迫要因となっており、今回のドイツの鉱工業生産統計は欧州中央銀行(ECB)が前週の理事会で示したハト派的な政策転換を改めて裏付けるものとなった。
みずほルの金利ストラテジスト、アントワーヌ・ブーベ氏は「鉱工業生産はハードデータで、今回の結果で欧州経済が減速していることが改めて印象付けられた」とし、「減速は一時的なものではないとの見方を裏付けるものだった」と述べた。
独ハンデルスブラット紙はこの日、連邦政府が政府内で2019年の成長率見通しを0.8%増に下方修正したと報道。[nL3N20Y1OQ]政府は1月に19年の成長率見通しを1.8%から1.0%に引き下げており、実際に下方修正されれば過去2カ月で2回目となる。
ただ昨年12月の鉱工業生産指数は0.8%上昇と、従来の0.4%低下から大幅に上方修正された。
独自動車業界に対しては、ストライキなど特殊要因のほか、中国の減速やディーゼル車の需要急減、電気自動車(EV)と自動運転車への投資拡大なども重しとなっている。
ドイツ商工会議所(DIHK)のソフィア・クリテンブリンク氏は「独経済に対する国外からの向かい風は強まっている」としている。
INGのエコノミスト、カーステン・ブレゼスキ氏は「月次データの大幅な修正のほか、国内受注の安定化や堅調なファンダメンタルズは見られることを踏まえると、減速は底入れしつつあることが示唆されている」と指摘。ただ「実際に底に達するまでに時間がかかり過ぎれば、政府は追加的な財政刺激策の導入を検討し始める必要がある」との考えを示した。
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