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G20での米中通商合意は可能、米側の「公正な」態度必要=中国紙

2018年11月30日(金)12時36分

[上海 30日 ロイター] - 中国の政府系英字紙チャイナ・デーリーは30日付の論説記事で、この日に開幕する20カ国・地域(G20)首脳会議で米中両国政府は通商合意をまとめることが可能との見解を示した。ただ、米側の「公正」な態度が必要になるとした。

同紙は「中国は米国と同じく、合意を求めている。米側が公正な態度を取るならば、中国は貿易を巡る懸念について米国に協力する用意がある」と論じた。

「貿易摩擦を利用して中国の経済成長を抑えるなど、何らかの別の意図がある場合、合意に達する可能性は低い」とした。

アルゼンチンの首都ブエノスアイレスで開催されるG20首脳会議では貿易摩擦が主要議題となる見通し。12月1日には米中首脳会談も予定されており、市場の注目度は高い。

チャイナ・デーリーの記事は、合意がまとまっても「さまざまな異なる要求や論点」があるため、貿易摩擦の包括的な解決策にはならないだろうと指摘。それでもなお、「双方が理性的に考えるなら、対立の悪化を避けるために何らかの合意をまとめることが適切となるだろう」とした。

中国国家統計局が30日に発表した11月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)は50.0と、市場予想の50.2を下回り、2年超ぶりに拡大が止まった。新規輸出受注指数は47で、10月の46.9から小幅ながら上昇したが、6カ月連続で50を割り込んだ。

ゴールドマン・サックスはリポートで「中国の輸出は(関税引きを上げを控えた)最近の『駆け込み』の反動で、今後数カ月にわたり伸び悩む可能性が高い。また(米中の)合意が成立しなければ、いずれ米国側が一部の発注を中国以外のサプライヤーに切り替えることも、輸出伸び悩みの原因となる可能性が高い」と指摘。

短期的には、米中貿易戦争で、中国の投資や耐久財消費の先行き不透明感が強まるとの見方を示した。

トランプ米大統領は29日、中国との通商交渉妥結に近づいているものの、それを自分が望んでいるかは定かでないと発言。中国商務省の報道官は同日、今週末予定される米中首脳会談で、貿易摩擦解消に向けた「前向きな結果」を期待しているとの認識を示した。

関係筋によると、ホワイトハウスのナバロ通商製造政策局長はトランプ大統領と中国の習近平国家主席との会談に同席する。ナバロ氏は中国に対する強硬姿勢で知られている。

別の当局者は、ナバロ氏の同席について、貿易問題に対する米政権の決意を中国側に示すことが目的だとの認識を示した。

*内容を追加しました。

ロイター
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