コラム

教団の収益の7割は日本──日米の危機を生んだ「秘密工作活動」と統一教会

2022年07月25日(月)12時37分

この団体は、文鮮明の七男・文亨進(ムン・ヒョンジン)が米ペンシルベニア州を拠点に設立した。文鮮明の妻・韓鶴子をトップに頂く旧統一教会の主流派とは、対立関係にある。この教団は、アメリカの地方部の白人たちが抱く怒りと被害者意識、銃を個人の自由の象徴と見なす発想を教義に取り込んでいった。

サンクチュアリ教会は、トランプを熱烈に支持していることでも知られる。信者はアサルトライフルを持って宗教行事に参加し、準軍事的な訓練を行う。

文亨進は「(アメリカ)政府は全体主義の犯罪シンジケートになりつつある。民主党はナチス協力者のジョージ・ソロスが資金源の共産党になった」と説き、昨年1月6日にも信者を率いて連邦議事堂に駆け付けていた。

アメリカ社会にとって、サンクチュアリ教会が社会の根深い亀裂と深刻な病理を利用しようとしていることは、極めて危険な状況と言わざるを得ない。

いまアメリカの政治と社会の安定に極めて重大な脅威を及ぼしている勢力が60年代の反共主義の秘密工作活動に端を発しているというのは、あまりに皮肉だ。まさしく、思いがけない結果と言うほかない。

プロフィール

グレン・カール

GLENN CARLE 元CIA諜報員。約20年間にわたり世界各地での諜報・工作活動に関わり、後に米国家情報会議情報分析次官として米政府のテロ分析責任者を務めた

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

午前の日経平均は続伸、最高値更新 円安や米株先高が

ワールド

欧州首脳、米ウクライナ首脳会談に同席へ ゼレンスキ

ワールド

スペイン、猛暑が阻む20件の大規模山火事対応 政府

ワールド

ゼレンスキー氏は「ほぼ即座に」戦争終了させること可
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
2025年8月12日/2025年8月19日号(8/ 5発売)

現代日本に息づく戦争と復興と繁栄の時代を、ニューズウィークはこう伝えた

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コロラド州で報告相次ぐ...衝撃的な写真の正体
  • 2
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に入る国はどこ?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    AIはもう「限界」なのか?――巨額投資の8割が失敗する…
  • 5
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 6
    恐怖体験...飛行機内で隣の客から「ハラスメント」を…
  • 7
    「イラつく」「飛び降りたくなる」遅延する飛行機、…
  • 8
    40代は資格より自分のスキルを「リストラ」せよ――年…
  • 9
    「パイロットとCAが...」暴露動画が示した「機内での…
  • 10
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...「就学前後」に気を付けるべきポイント
  • 3
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コロラド州で報告相次ぐ...衝撃的な写真の正体
  • 4
    「笑い声が止まらん...」証明写真でエイリアン化して…
  • 5
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 6
    「何これ...」歯医者のX線写真で「鼻」に写り込んだ…
  • 7
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に…
  • 8
    債務者救済かモラルハザードか 韓国50兆ウォン債務…
  • 9
    「触ったらどうなるか...」列車をストップさせ、乗客…
  • 10
    産油国イラクで、農家が太陽光発電パネルを続々導入…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 9
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
  • 10
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story