コラム

ECB総裁にはグリーンスパンを

2011年02月16日(水)16時18分

 欧州中央銀行(ECB)の次期総裁はアメリカ人にするべきだ。ドイツのリベラル系週刊紙ツァイトの記者シルベイン・ブロイヤーはそう提案した。以下は、その翻訳の一部。


 現職のトリシェ総裁の後任はアメリカ人しかいない。欧州にも必要な能力をもつ優れた人材はがいるのは確かだが、今後ECB総裁が直面する課題に取り組むには、通貨同盟に対する従来の考え方を劇的に変える必要がある。

 過大な借金で傾いているユーロ諸国に対しても、次のECB総裁は喜んで「最後の貸し手」としての役割を果たさなければならない。今日の欧州では、ECBが最後の貸し手になることこそが通貨統合の本質だということはほとんど認められていない。だがアメリカでは、それが主流の考え方だ。


 だが鵜呑みにはできない。ECBの哲学が今日の事態と相容れないという指摘は確かだろう。だが残念なことに、今はアメリカ自身も金融当局幹部のポストを埋められなくて四苦八苦しているところ(共和党が多数派の上院が議事妨害をしているおかげだ)。職にあぶれた元中央銀行家たちがブラブラしているように見えるかもしれないが、FRB(連邦準備理事会)の3つの空席を埋める候補として指名され議会の承認を待っている優秀な候補者ばかり(例外はグリーンスパンだ。そう、グリーンスパンを連れて行けばいい!)。

 一方、もしヨーロッパがこの間にアメリカの優秀な中央銀行家たちをヘッドハントし始めれば、議会も愛国的観点からFRBのポストへの指名を真剣に受け取めるようになるかもしれない。

──キャメロン・アバディ
[米国東部時間2011年02月15日(火)16時30分更新]

Reprinted with permission from FP Passport, 16/2/2011. © 2011 by The Washington Post Company.

プロフィール

ForeignPolicy.com

国際政治学者サミュエル・ハンチントンらによって1970年に創刊された『フォーリン・ポリシー』は、国際政治、経済、思想を扱うアメリカの外交専門誌。発行元は、ワシントン・ポスト・ニューズウィーク・インタラクティブ傘下のスレート・グループ。『PASSPORT:外交エディター24時』は、ワシントンの編集部が手がける同誌オンライン版のオリジナル・ブログ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

独ZEW景気期待指数、12月は45.8に上昇 予想

ワールド

トランプ氏がBBC提訴、議会襲撃前の演説編集巡り巨

ビジネス

英総合PMI、12月速報は52.1に上昇 予算案で

ワールド

ウクライナ提案のクリスマス停戦、和平合意成立次第=
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連疾患に挑む新アプローチ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 6
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 7
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 8
    アダルトコンテンツ制作の疑い...英女性がインドネシ…
  • 9
    FRBパウエル議長が格差拡大に警鐘..米国で鮮明になる…
  • 10
    「なぜ便器に?」62歳の女性が真夜中のトイレで見つ…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 7
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 8
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 9
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 10
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story