最新記事

金融

米国株式市場でダウ最高値更新、ナスダックは下落 インフレの高まりなどで市場は不安定に

2021年5月6日(木)08時59分

米国株式市場はダウ工業株30種が終値ベースで過去最高値を更新した。ただナスダック総合は当初の上げから反転し、マイナス圏で終了した。写真は5月4日、ニューヨーク証券取引所前で撮影(2021年 ロイター/Brendan McDermid)

米国株式市場は、ダウ工業株30種が終値ベースで過去最高値を更新した。ゴールドマン・サックス、キャタピラー、シェブロンなどが買われ、ダウを押し上げた。ナスダック総合は大型テクノロジー株が下落する中、当初の上げから反転し、マイナス圏で終了した。

S&P総合500種はほぼ横ばい。S&Pの主要セクターではエネルギーと素材が上げを主導。ディフェンシブ銘柄の公益事業、不動産は下げがきつかった。

USバンク・ウェルス・マネジメントのチーフ株式ストラテジスト、テリー・サンドベン氏は「エネルギー、金融、素材、工業が全てアウトパフォームしている。これらは景気循環セクターで、経済再開・拡大期に恩恵を受ける傾向がある」と述べた。

前日に下落していたフィラデルフィア半導体指数は反発し、0.61%高。大型テクノロジー株のアマゾン・ドット・コム、フェイスブックは1%超下落した。

前週は好調な経済指標や決算を背景にS&P500種とナスダックが最高値を更新したが、インフレの高まりや金利上昇の可能性への懸念から市場は不安定な値動きとなっている。

TDアメリトレードのシニア市場ストラテジスト、ショーン・クルス氏は「市場が最近のように高値を付けると投資家が懸念するのはインフレ高進とそれによる企業の収益性への影響だ」と指摘した。

カジノ運営のシーザーズ・・エンタテインメントは7.8%高と、S&P500種構成銘柄の中で最大の上昇率を記録した。経済再開の恩恵を受けるとの見通しを示したことが背景。

ナスダック100指数では、携帯電話サービス大手TモバイルUSの上昇率(4.4%)が最大だった。通年の月額払い(ポストペイド)契約者数見通しを引き上げたことが好感された。

エクササイズバイクやランニングマシンのメーカー、ペロトン・インタラクティブは14.6%下落し、8カ月ぶりの安値を付けた。けがや死亡事故が報告される中、ランニングマシンのリコールを発表したことが嫌気された。

配車大手ウーバー・テクノロジーズは引け後の時間外取引で4%超下落。同社が引け後に発表した第1・四半期決算は赤字幅が縮小した。料理宅配事業が引き続き好調だった。ただ、配車事業の予約件数は前四半期比で横ばいとなった。

米取引所の合算出来高は83億5000万株。直近20営業日の平均は99億4000万株。

*個別銘柄の騰落率や米取引所の合算出来高などを追加しました。

終値 前日比 % 始値 高値 安値 コード

ダウ工業株30種 34230.34 +97.31 +0.29 34163.99 34331.20 34039.66

前営業日終値 34133.03

ナスダック総合 13582.43 -51.08 -0.37 13731.13 13753.05 13553.93

前営業日終値 13633.50

S&P総合500種 4167.59 +2.93 +0.07 4177.06 4187.72 4160.94

前営業日終値 4164.66

ダウ輸送株20種 15639.74 +14.84 +0.10

ダウ公共株15種 902.30 -14.95 -1.63

フィラデルフィア半導体 3042.88 +18.57 +0.61

VIX指数 19.15 -0.33 -1.69

S&P一般消費財 1403.43 -5.31 -0.38

S&P素材 541.56 +7.05 +1.32

S&P工業 875.14 +1.15 +0.13

S&P主要消費財 715.45 -0.74 -0.10

S&P金融 615.12 +5.72 +0.94

S&P不動産 260.15 -4.01 -1.52

S&Pエネルギー 395.24 +12.73 +3.33

S&Pヘルスケア 1433.22 +3.24 +0.23

S&P通信サービス 253.48 -0.68 -0.27

S&P情報技術 2397.11 -3.92 -0.16

S&P公益事業 331.91 -5.78 -1.71

NYSE出来高 6.94億株

シカゴ日経先物6月限 ドル建て 29090 + 210 大阪比

シカゴ日経先物6月限 円建て 29075 + 195 大阪比



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・新型コロナが重症化してしまう人に不足していた「ビタミン」の正体
・世界の引っ越したい国人気ランキング、日本は2位、1位は...



今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

訂正サムスン電子、半導体事業94%営業減益 下期は

ワールド

豪中銀副総裁、第2四半期CPI「歓迎すべき」 慎重

ビジネス

小売業販売6月は前年比+2.0%、食品値上げが押し

ワールド

ハリス氏、カリフォルニア州知事選不出馬表明 次期大
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ関税15%の衝撃
特集:トランプ関税15%の衝撃
2025年8月 5日号(7/29発売)

例外的に低い日本への税率は同盟国への配慮か、ディールの罠か

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 2
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目にした「驚きの光景」にSNSでは爆笑と共感の嵐
  • 3
    いま玄関に「最悪の来訪者」が...ドアベルカメラから送られてきた「悪夢の光景」に女性戦慄 「這いずり回る姿に衝撃...」
  • 4
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い…
  • 5
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 6
    一帯に轟く爆発音...空を横切り、ロシア重要施設に突…
  • 7
    M8.8の巨大地震、カムチャツカ沖で発生...1952年以来…
  • 8
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 9
    「自衛しなさすぎ...」iPhone利用者は「詐欺に引っか…
  • 10
    街中に濁流がなだれ込む...30人以上の死者を出した中…
  • 1
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 2
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの習慣で脳が目覚める「セロ活」生活のすすめ
  • 3
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜つくられる
  • 4
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
  • 5
    航空機パイロットはなぜ乗員乗客を道連れに「無理心…
  • 6
    中国が強行する「人類史上最大」ダム建設...生態系や…
  • 7
    「様子がおかしい...」ホテルの窓から見える「不安す…
  • 8
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い…
  • 9
    タイ・カンボジア国境で続く衝突、両国の「軍事力の…
  • 10
    中国企業が米水源地そばの土地を取得...飲料水と国家…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 3
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 4
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 5
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの…
  • 6
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは…
  • 7
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜…
  • 8
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 9
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 10
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中