コラム

ムバラク最後の親友は金正日

2011年02月09日(水)17時26分

 アメリカからトルコにいたるまで、かつてエジプトのホスニ・ムバラク大統領の盟友だった国々が彼を見捨てようとしている。キューバのフィデル・カストロ前国家評議会議長ですら、ムバラクは政権を去る時が来たと語った。そんななかある遠い国で、ムバラク支持を断固として堅持しているリーダーが1人いる。


 北朝鮮の金正日総書記はムバラク大統領に新年のメッセージを送ったと、朝鮮中央通信は先週末に報じた。これは40年にわたる両国の親密な軍事的・経済的つながりを裏付けるものだ。カイロでムバラク政権に対する激しい抗議運動が巻き起こるなか、金は南北朝鮮や中国、ベトナムなどで先週祝われた旧正月の機会に、ムバラクに挨拶状を送った。   このメッセージは、北朝鮮の数十年にわたるエジプト支援を物語るものだととらえられている。


 アメリカのクリスチャン・サイエンス・モニター紙は、両者の関係をこう考察している。


 北朝鮮は長年の間、エジプト人パイロットを養成し、ミサイルをエジプトに売り、エジプトにミサイル製造技術を提供してきた。カイロの北朝鮮大使館は、周辺地域で北朝鮮が軍事取引を行う際の活動拠点と化した。

 エジプトが1979年にイスラエルと平和条約を結び、アメリカとの結びつきを強めるようになってからも、北朝鮮とエジプトの関係は強化される一方だった。アメリカの盟友と言われながらもムバラクは、北朝鮮との軍事的・経済的な関係を強めるために80年代に3回、90年代には4度目の平壌訪問を行った。


──ジョシュア・キーティング
[米国東部時間2011年02月8日(火)11時11分更新]

Reprinted with permission from "FP Passport", 9/2/2011. © 2011 by The Washington Post Company.

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国際政治学者サミュエル・ハンチントンらによって1970年に創刊された『フォーリン・ポリシー』は、国際政治、経済、思想を扱うアメリカの外交専門誌。発行元は、ワシントン・ポスト・ニューズウィーク・インタラクティブ傘下のスレート・グループ。『PASSPORT:外交エディター24時』は、ワシントンの編集部が手がける同誌オンライン版のオリジナル・ブログ。

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