コラム

定年年齢引き上げにフランスがNON!

2010年05月28日(金)16時57分

 厳しい時代には大きな犠牲がつきもの――。世界に広がる経済の停滞から何とか抜け出すため、各国はこの通念をしぶしぶ受け入れてきた。しかしフランス人は、この考え方に準じる気はないようだ。同国のニコラ・サルコジ大統領が定年退職年齢を現行の60歳から61〜62歳(たったの1、2年!)に引き上げると提案したことを受け、5月27日の朝からフランス各地でストライキ)が実施された。

 サルコジは、今回の案は平均寿命が延びている現実を合理的に調整するものだと弁明している。実際は、07年に定年退職年齢を65歳から67歳へ段階的に引き上げると決めたドイツにならっただけだと言っても、許されるかもしれないが(とはいえ、最近のアンゲラ・メルケル独首相を引き合いに出しても、いいことはなさそうだ)。

 今のところ、フランス国民はサルコジの説明に納得していない。27日には教員のおよそ14%、病院職員の約8%が職場放棄して抗議デモに参加した。航空機の運航は混乱し、報道機関にまで打撃が及んだ。米公共放送ナショナル・パブリック・ラジオ(NPR)は、「ニュース速報を伝えるジャーナリストの数が足りないため、パリの公共ニュースラジオ局はポップス音楽を流してしのいでいる」と報じた

──クレア・セスタノビッチ

[米国東部時間2010年05月27日(水)17時30分更新]

Reprinted with permission from FP Passport, 28/5/2010. ©2010 by Washingtonpost.Newsweek Interactive, LLC.

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国際政治学者サミュエル・ハンチントンらによって1970年に創刊された『フォーリン・ポリシー』は、国際政治、経済、思想を扱うアメリカの外交専門誌。発行元は、ワシントン・ポスト・ニューズウィーク・インタラクティブ傘下のスレート・グループ。『PASSPORT:外交エディター24時』は、ワシントンの編集部が手がける同誌オンライン版のオリジナル・ブログ。

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