コラム

五輪開催、シカゴがリオを推薦?

2009年09月24日(木)15時13分

 このブログでは昨年、2016年夏季オリンピックの開催都市はシカゴでも東京でもマドリッドでもなく、ブラジルのリオデジャネイロをすべきだと提案した(理由の一つは、北京五輪で世界が学んだように、オリンピックは国内の不満分子を弾圧する絶好のチャンスだから。犯罪者と銃があふれるリオは、この機会をいちばん有効に活用できる)。

 そして今日、シカゴのウェブサイト「リオを応援するシカゴ市民」が同じことを言い出した。

「シカゴでオリンピックを開催するのは素晴らしい。だが、リオデジャネイロで開催すればもっと素晴らしい。2016年のオリンピックはぜひともリオでやってもらおう。われわれは気にしない。本当だって」

 開催都市の決定は10月2日。今になってそんなことを言う理由は何なのか。その例をいくつか挙げよう。

■像 
リオにはキリストが立っているが、シカゴではリンカーンが座っているだけ(公平のために付け加えるが、シカゴにもリンカーンの立像はある)。

■代表的なイベント 
リオのカーニバルでは人々が裸になって踊る。シカゴのフードフェスティバル「テイスト・オブ・シカゴ」では肥満気味の人々がただ食べ歩く。

■ニックネーム 
リオは「マーベラス・シティ(素晴らしい都市)」。シカゴは「セカンド・シティ(ニューヨークの次の2番手都市)」

 同サイトはさらに、シカゴには2億2000万ドル近い財政赤字があると指摘する。対して、リオの財政赤字はゼロと断言。なぜなら、「シカゴ市民に関係ない赤字だから」。

 04年の開催都市アテネでは、22の競技場のうち21が使われないままになっている、とも指摘した。

 どうやら彼らは、景気後退経済学の最新の犠牲者らしい。世界で最も重要な(いや2番目か)スポーツの祭典を、自ら主催しようという熱意を失ってしまったのだ。

──ボビー・ピアース
[米国東部時間2009年09月23日(水)16時45分更新]


Reprinted with permission from "FP Passport", 24/9/2009. © 2009 by Washingtonpost.Newsweek Interactive, LLC.

プロフィール

ForeignPolicy.com

国際政治学者サミュエル・ハンチントンらによって1970年に創刊された『フォーリン・ポリシー』は、国際政治、経済、思想を扱うアメリカの外交専門誌。発行元は、ワシントン・ポスト・ニューズウィーク・インタラクティブ傘下のスレート・グループ。『PASSPORT:外交エディター24時』は、ワシントンの編集部が手がける同誌オンライン版のオリジナル・ブログ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米ウクライナ首脳、日本時間29日未明に会談 和平巡

ワールド

訂正-カナダ首相、対ウクライナ25億加ドル追加支援

ワールド

ナイジェリア空爆、クリスマスの実行指示とトランプ氏

ビジネス

中国工業部門利益、1年ぶり大幅減 11月13.1%
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指すのは、真田広之とは「別の道」【独占インタビュー】
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    【世界を変える「透視」技術】数学の天才が開発...癌…
  • 5
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 6
    【銘柄】子会社が起訴された東京エレクトロン...それ…
  • 7
    中国、米艦攻撃ミサイル能力を強化 米本土と日本が…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 10
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 6
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 7
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 10
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story