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オーストラリアの診察室から

高尾康端|オーストラリア

オーストラリアのインフレ

画像:XtockImages-iStock

他の多くの国と同じようにオーストラリアでもインフレが続いていいます。オーストラリアの2022のインフレ率は7.8%でした。

オーストラリア連邦の中央銀行であるオーストラリア準備銀行(Reserve Bank of Australia、略称:RBA)はインフレ率の上昇を抑えるために日本の公定歩合に相当するキャッシュレートを上げています。そのため市中金利もどんどん上がってきています。去年の4月までキャッシュレートは0.1% でしたが現在は3.35%になっています。これからも当分の間キャッシュレートは定期的に上昇していくと予想されています。

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画像:EyeOfPaul-iStoc

ここ数か月ニュースでオーストラリアの金利や物価の上昇について聞かない日はほとんどありません。食料品、電気代など上昇していないものはない気がします。食料品やアルコール以外の飲料価格は1年間で9.4%上がりました。実際に買い物にいってもいろいろなものが以前よりかなり高くなっています。

食料品や電気代などの上昇で特に打撃を受けているのは個人経営の飲食店です。物価の上昇とともに少しでも出費を抑えようと外食を控えようする人が増えているのがその主な原因です。売上が減っている一方で材料費や光熱費は高騰しているので、多くの飲食店には厳しい状況です。

インフレによる住居の問題も増えています。金利の大幅な上昇のため、ローンの返済額が増えて、払いきれなくなり家を手放す人が増えているのです。金利が上がったことにより新たにローンを組める人が減ったため、家の値段の上昇はある程度抑えられています。賃貸もオーナーがローンで物件を保有している場合が多いので、金利をカバーするために賃貸料も高騰しています。家賃やローンを払うために仕事をの量を増やしている人もいるようです。

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画像:CraigRJD-iStock

インフレでいろいろな物の値段が高騰していますが、人々の収入はインフレ率程には上昇していません。オーストラリアのインフレの要因としてコロナパンデミックからの影響、ロシアとウクライナの戦争、収入の上昇などが挙げられています。オーストラリア準備銀行のトップはインフレがこのまま継続するのはオーストラリア経済にとって悪影響を及ぼすと先日の政府への説明会でも述べていました。国民の不安もかなり増えています。

多くの国と同じようにオーストラリアのインフレはしばらく続きそうです。これからもキャッシュレートが上がり続けると考えると先が思いやられます。





参考
https://www.abc.net.au/news/2023-02-18/higher-interest-rates-coming-hurt-some-more-than-others/101989320
https://www.sbs.com.au/news/article/australians-arent-the-only-ones-facing-rising-interest-rates-heres-how-other-countries-compare/fwz1wk3ty
https://www.rba.gov.au/statistics/cash-rate/
https://www.just-food.com/news/australia-consumers-still-facing-double-digit-grocery-price-inflation/

 

Profile

著者プロフィール
高尾康端

日本、スイス、シンガポール、アメリカで育ち、2004年からオーストラリアに移住。シドニー大学医学部を卒業。現在は東ブリスベンエリアHawthorne Clinicにて家庭医 (GP)として勤務。家庭医の観点からみる病気についての情報、また母国である日本と移住地オーストラリアの医療システムの違いや、オーストラリアで病気になった時に役立つ情報を発信している。

Twitter:@dryasutakao
Facebook:Dr Yasu Takao
ブログ:https://www.dryasutakao.com.au/blog

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