台湾人の88%が有事に備え...軍事侵攻だけでなく浸透工作・認知戦への危機感
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オンラインアンケートの結果でもう一点際立っていたのが、「台湾有事への準備」として「中国共産党の代理人として活動する国民党所属の国会議員の罷免を成功させること」を挙げる人が一定数いたことだ。いつ起きるか分からない軍事侵攻よりも、いま既に深刻な中国政府の「浸透工作」に対処することが喫緊の課題だ、との考えだったようだ。
台湾では親中派の地方自治体首長や立法議員らが中国寄りの政策や立法を進めているとの懸念が広がっており、最近では中国政府による台湾のインフルエンサーや芸能人の囲い込みが激しさを増している。
また、一部の中国の大学が意図的に台湾の学生に接近していることから、教育部が中国共産党統一戦線工作部に所属する大学との交流を禁止するなど、市民の間では緊迫感を実感させる動きが見受けられるようになった。
そうした現状に反発する市民らの署名活動によって、国会で多数を占める野党・国民党所属の議員24人の罷免の賛否を問う住民投票が7月26日に行われたが、結果は全てリコール不成立となり、頼清徳(ライ・チントー)政権には打撃となった。