まるで「文化爆弾」...中国が北朝鮮の「支配」を狙い展開する「中国版ソフトパワー外交」の実態
China’s Cultural Offensive
北朝鮮の人々に中国への憧れを抱かせながらも、国境管理の厳重さを見せつけて脱北は難しいと思わせる──中国当局はそのための微妙なさじ加減を心得ている。自由と民主主義をアピールするアメリカや韓国の情報戦略とは異なり、中国が編み出したのは北朝鮮の現状を維持しつつも、北朝鮮の人心をがっちりつかむ実に巧妙な戦略だ。
ドナルド・トランプ米大統領の下で、米政府は北朝鮮の人権状況を改善する活動への支援を停止するとみられ、中国当局はこの機に乗じて宣伝工作を強化しようとしているようだ。「アメリカが北朝鮮向けのラジオ放送を中止するなど情報戦線から撤退すれば、中国は戦略上のチャンス到来とみる」と、情報筋は言う。
トランプのアメリカが残した空白を誰が埋めるのか。国際社会はこの状況に有効な対応策を打ち出せていない。韓国が南北統一に向けて同胞とつながる努力を怠れば、北朝鮮の人心は中国になびくだろう。最終的にはこの文化競争の結果が北朝鮮のたどる軌跡を決めるかもしれない。