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千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打って出たときの顛末

2025年7月12日(土)12時15分
印南敦史(作家、書評家)

市議会でも市役所でも腰を低くし、選挙に連勝

そんななか、鎌ヶ谷市の市長が汚職で逮捕され、市民が自分たちの手で新たな市長を生み出そうと運動を始めた。市民団体との面談を経て候補者となり、民主党と社民党からの推薦を得て当選。千葉県内では最年少の41歳で市長となったのであった。

もともと偉そうに振る舞えないたちで、市長になってからも自分のことを偉いと思ったことはなく、常にヘコヘコしていたそうだ。そのうえ野党系の出自で、鎌ヶ谷には地縁も血縁もなし。保守系勢力がまとまって対抗馬を立てれば、次の選挙は危ない。

そんなこともあり、市議会でも市役所でも腰を低くしていたというのだ。

だが、そのかいあってか以後も2期目、3期目、4期目、5期目と選挙を乗り越えていく。当初は緊張状態のまま臨んでいた選挙を、4期目以降はそれほど気にしなくてもよくなっていったそうだ。継続は力なり、である。


 長く現職を続けるには、市役所内部をまとめたり、市議会と良い関係を作ることが重要だが、一番大切なのはタイミングも含めた運だと思う。私は市長として本当に運に恵まれていた。(173ページより)

しかし、こののち著者の運は大きく変わる。6期目はどうすべきかと迷っていた頃、鎌ヶ谷市を含む衆議院千葉13区選出の自民党のA議員に不祥事が起き、次の衆院選では著者を担ごうという空気が出てきた。

心の中には、市長5期の経験を国政で活かしたいという思いがあったため、"とうとう来たかという心境"だったという。

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