ホルムズ海峡の封鎖は「自殺行為」?...イラン・イスラエル全面戦争は「起こらない」と断言できる理由

A Victory for Israel

2025年6月17日(火)14時45分
マシュー・クレイニグ(米シンクタンク「アトランティック・カウンシル」スコウクロフト国際安全保障センター副所長)

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イランの核施設マップ ILLUSTRATION BY FREES/SHUTTERSTOCK

現時点で最も気になるのは、イスラエルの攻撃がイランの核施設にどの程度のダメージを与えたか、そして今後与え得るかだ。

イランには3つの主要な核施設がある。イスファハンとナタンズ、フォルドウだ。今回3つとも攻撃を受けたが、被害の規模は不明だ。フォルドウは山腹に埋設されている。空爆のみで破壊するのは難しいだろう。


だがイスラエルを見くびってはいけない。昨秋レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの通信機器を爆発させて戦闘員を大量に殺すまで、誰もそんな手があるとは思っていなかった。

フォルドウの破壊でも、想像もつかないような新手の攻撃を行う可能性がある。米軍が支援すれば、重爆撃や地中貫通爆弾で空から破壊することも可能だ。

今のところ米国防総省はイスラエルの攻撃と距離を置いているが、イランの報復攻撃が激化するなどしてアメリカがイスラエル支援に乗り出せば、一発で仕事が終わる。

イランは現体制を維持

となると気になるのは、イランの出方だ。全面戦争を懸念する声が多いが、それはまずないだろう。過去1年で、イランの報復能力は大幅に低下した。パレスチナ過激派のハマスが23年秋にイスラエルを奇襲攻撃して以降、イスラエルの猛攻でハマスとヒズボラの戦闘力はガタ落ちだ。

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