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ホルムズ海峡の封鎖は「自殺行為」?...イラン・イスラエル全面戦争は「起こらない」と断言できる理由

A Victory for Israel

2025年6月17日(火)14時45分
マシュー・クレイニグ(米シンクタンク「アトランティック・カウンシル」スコウクロフト国際安全保障センター副所長)
空爆を受けたテヘラン市内

首都テヘランにある革命防衛隊本部や、ウラン濃縮施設、重水炉など各地の重要な核施設が攻撃を受け、複数の司令官や有力な核科学者が殺害された(写真は空爆後のテヘラン市内) MAJID SAEEDI/GETTY IMAGES

<トランプもイスラエルも「正しい判断」だったのかもしれない? イランの核開発を止める手段はたった一つしか残っていない──>

現地時間の6月13日未明、イスラエルはイランの主要な核・軍事施設に対し波状攻撃を実施。イランの核開発計画に実質的なダメージを与えた。今後はどうなるのか。

【動画】逃げるアナウンサーの姿も...生放送中のイラン国営放送局を襲ったイスラエルの空爆、テレビで放映された衝撃映像

イスラエルが実力行使をいとわずイランの核開発を阻止する覚悟なら、イスラエルとアメリカを長年悩ませていた問題は解決するとみていい。


イランの核の脅威は軍事行動で封じ込めるしかない──筆者は10年以上も前からそう論じてきた。イランの核保有をただ黙認することは容認し難いリスクを伴う。

話し合いでイランに核保有の野望を断念させることができないのは、これまでの経緯から明らかだ。10年以上も交渉を重ねた末、2015年にJCPOA(包括的共同作業計画)が成立したが、合意内容は極めて限定的だった。

ドナルド・トランプ米大統領が1期目にJCPOAからの離脱を決めたのは正しい判断だった。これに伴い経済制裁が再開されるや、イランはすぐさま核開発を加速。イスラエルによるサイバー攻撃や妨害工作で計画の進展は遅れたものの、完全に開発を止めることはできなかった。

つまり軍事行動が残された唯一の選択肢だったということだ。

今やイランが1発の核爆弾を製造するためにウランの濃縮に要する時間はわずか2.5日。イランは核拡散防止条約(NPT)に基づくIAEA(国際原子力機関)の査察受け入れを渋り続け、たまりかねたIAEAは6月12日、過去20年間で初めてイランに対する非難決議を採択した。

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