最新記事
BOOKS

入居者の頭を持ち上げ「なんであなたは」と激怒...老人ホームで目撃した地獄のような光景

2025年5月25日(日)13時25分
印南敦史(作家、書評家)
介護施設 老人ホーム

写真はイメージです sukiyaki-shutterstock

<入居させている家族は知らない、老人ホームの実態。60歳から介護の現場に飛び込んだ元「検診員」が見たものとは>

『家族は知らない真夜中の老人ホーム――やりきれなさの現場から』(川島 徹・著、祥伝社)は、2020年8月に紹介したことがある『メーター検針員テゲテゲ日記』の著者による新刊。

(関連記事)1件40円、すべて「自己責任」のメーター検針員をクビになった60歳男性

あれから5年も経ったとは驚きだが、ともあれ著者はその後、10年間続けたメーター検針員の仕事を辞めさせられ、60歳から介護の仕事を始めたのだった。

その根底には「仕事の緊張感がないと生活のリズムを失ってしまいそうだ」という思いだけでなく、年金だけでは生活できないという切羽詰まった事情もあったという。

かくしてハローワークで、介護の仕事を検索するに至ったのである。


 夜勤だとひと晩で1万円、高いところは1万5千円。作家になるという夢はまだ諦めてはいなかった。夜勤だと人間関係に煩わされることはないだろう。それに夜中に本が読めるかもしれない。
 そんな不埒な動機で、わたしはあるグループホームの夜勤の仕事を始めた。
 そこを皮切りに70歳まで10年間、8カ所あまりの老人ホームを転々とした。(「まえがき」より)

著者も認めているように、介護の現場はきつく、汚く、給与も安い。また人手不足で働き手が少ないため、介護職は引く手あまたの職業ともいえる。そのため未熟な介護者も多く、著者もそのひとりだった。

しかし過酷な状況下で、さまざまな境遇にある人々と触れ合い、よいことも悪いことも知ることになる。

キャリア
AI時代の転職こそ「人」の力を──テクノロジーと専門性を備えたLHHのコンサルティング
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

アングル:解体される「ほぼ新品」の航空機、エンジン

ワールド

アングル:汎用半導体、供給不足で価格高騰 AI向け

ワールド

米中間選挙、生活費対策を最も重視が4割 ロイター/

ワールド

ロシア凍結資産、ウクライナ支援に早急に利用=有志連
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
2025年10月28日号(10/21発売)

高齢者医療専門家の和田秀樹医師が説く――脳の健康を保ち、認知症を予防する日々の行動と心がけ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...装いの「ある点」めぐってネット騒然
  • 2
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した国は?
  • 3
    「宇宙人の乗り物」が太陽系内に...? Xデーは10月29日、ハーバード大教授「休暇はXデーの前に」
  • 4
    為替は先が読みにくい?「ドル以外」に目を向けると…
  • 5
    ハーバードで白熱する楽天の社内公用語英語化をめぐ…
  • 6
    「ママ、ママ...」泣き叫ぶ子供たち、ウクライナの幼…
  • 7
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 8
    シンガポール、南シナ海の防衛強化へ自国建造の多任…
  • 9
    【ムカつく、落ち込む】感情に振り回されず、気楽に…
  • 10
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 1
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 2
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 3
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 4
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 5
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 6
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 7
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 8
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシ…
  • 9
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 10
    「ママ、ママ...」泣き叫ぶ子供たち、ウクライナの幼…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中